第18話 晒されたLINE Part2

 


 ―――およそ二週間前―――


『今度は3人頼む』





『りょうかーい、というかいきなり本陣じゃないんだねぇ』


『斬りこむ前に、周りの露払いをしないとな』


『ふぅん』


 雅の目の前にスマホを差し出し、三人の写真を見せる。


『俺を嵌めた奴の取り巻きだ。真壁愛美、原田杏、道枝楓』


『……なるほど。この子達の弱みを集めて拡散すればいいのねぇ』


『でもよ、佐々木。そもそも弱みが見つからない場合もあるんじゃねぇの?』


 横からずいっと出てくる阿久津。

 コイツの言うことも一理ある。

 だったらぶん殴った方が早い、と多分コイツはこう言いたいのだろう。

 脳筋め。


『…………さすがに女を殴るのは気が引けるし、弱みが見つからないのでは、という懸念点も大丈夫だ。色々と噂のあるグレーな連中だからな。ほじくれば何かしら出てくるさ』


『…………それさぁ、阿久津の質問の答えになってなくない?』


 普段になくまじめな顔の雅。


『阿久津はぁ、弱みが見つからない場合の話をしているんじゃないのぉ?』


 つまりは、予想だけで話を進め実行していいのか、とその確認か。

 なるほど。

 俺のはまだ伝わっていなかったようだ。


『……雅の最終目的はこの3人の排除、だよな?』


『うん、そうだねぇ』


『だったら、そのためにはしてもいいということだ』


 そこで雅の顔が『あぁ~~~~』とほころんだ。

 ビジョンが浮かんだようだ。


『…………?』


 しかし、アホの阿久津はいまだに不思議そうな表情をしている。


『だから、どういうことだってばよ?』


『うるせぇなぁ! 佐々木の話聞いてたら分かるだろうがよ!! このチンパン!!!』


『あぁ!!? ゲジゲジを眉毛に乗っけている奴に言われたくねぇ!!!』


『だからさぁ、佐々木は何をしてもいいって言ったんだよぉ!』


『…………それってつまり!?』





『…………弱みをいい』


『っ! 佐々木、最初からそう言えよ………』


 汲み取れない知能をもった貴様が悪い。


『弱みがないなら作ればいい。目的を達成するためなら、ね』


『了解ぃ、ウチはウチで動かせてもらうねぇ。やり方諸々も』


『全部任せる。奴らはクラブ、カラオケ、まぁ、いろんな所にいるみたいだ。そこら辺は雅の方が詳しいだろう?』


 ビシッと敬礼する雅。

 さてさて、どんなネタをもってくるつもりやら……。


『っていうかさ~』


『ん?』


『これ、晒された佐々木のLINE~?』


 雅のスマホの画面。

 それは紛れもなく、俺と陽菜のトーク履歴だった。

 こいつまで俺のLINE持っているって、どんだけ拡散されているんだよ………。


『うわ……俺もう見たくないわ』


『どれどれ!?』


 まだ噂を知らない阿久津はこれ以上ないくらいに食いついていた。

 もう………死ね!!!!!!


『ほうほう…………』



 ***

 10月19日

『今度どこかにでかけない?』

『いいよ』

『映画とかは!?』

『映画はちょっと』

『遊園地とかどう? 絶叫系平気??』

『ちょっと無理かな』

『普通に買い物とかは?』

『それならいいよ』

『よっしゃ!!! 俺絶対楽しませるからね! いっぱい思い出作ろうね』


 ***


『……まぁ、佐々木のLINEって知らなければ別に普通だけど、お前のものってのを加味すると、途端にキモくなるわ』


『ウチはぁ、最後の1文を変えたらいいと思う~』


『あ、それ俺も思った』


 添削するな。

 あと、普段仲悪いくせに、こういうときだけ意気投合すんな。










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