息できず/水底落ちた/気泡漏れ/希望は消えず/君がいるから


息できず

水底みなそこ 落ちた

気泡漏れ

希望は消えず

君がいるから






________________



***


 まるで、世界の音が一気にカットアウトされてしまったかのように。何も聞こえなくなった。


 ただ下河の息遣い。浅い喘鳴。ひゅーひゅーとその音だけが、俺の鼓膜にやけにリアルに響いて。




 とくん、とくん。




 俺の心臓が、強く胸打つ。何でソコで突っ立ているんだよ。動け、動け――。


 下河が俺に向かって、何かを呟く。それは最初、小さくてよく聞き取れなくて。



***



「……く、……苦しい。苦しいよ、上川君、かみか……わ君。か……冬君――」


 俺のなかの何かが弾けた。


「下河さん、しっかりしろ、ゆっくり深呼吸を――下河、下河!」


 俺は彼女の両手を握る。一瞬、氷かと思うくらい、その手が血のめぐりが悪く、冷たかった。


「――雪姫ゆき!」



※五七五七七になっていなかったので、修正しました。

 既読の方申し訳ありません

 

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