悪役→ヒーロー視点のやつ

真の悪役

それはその悪行の理由がどうであれ一般人の記憶にずっと残り続けるレベルの大悪党


そう、理由さえ要らない。

寧ろ邪魔なくらいだ。

恋人の為? 世界が憎い? ただの嫉妬?

理由が綺麗過ぎる。

理由なんて「それが楽しい」ぐらいでいい。


後ろのビルを気持ちいいくらいに吹っ飛ばす。

当たり前だが避難勧告もしてない

スーツ着てるし「もうすぐ上役が来ますよ」とは知らせ回ったな


目の前の正義の味方は唖然としながら次第に拳に力を入れている。

きっと目の前の私の事を思いっきり殴りたいんだろう。


「そうだろう?英雄ヒーロー?」


少し過去に遡ろうか


小さい頃、虐められていた。

理由は…無かった。

行き場もなかった。


家に帰ったら虐待、学校で孤立の繰り返し。

勿論、自殺も考えた。

すると後ろから「悲しむ人が居るぞ?」

って止められる。

けど生きてても「死ねよ」「キモいんだよ」

罵詈雑言の嵐だ。

それで逃げるように帰るんだ。

惨めだった。

自分が阿呆らしいぐらい惨めだった。


帰ったら仕事でストレスを溜めた親が待っている。

玄関を開けて飛び込んでくる掴みかかってくる手の平。

小さい頃の私からしたら恐怖の対象でしか無かった。


そんな日々を繰り返して気がついた。

「この見下してる奴らを消してしまえたら楽しいんだろうな」と考える自分に。

そんな日からずっと計画を練っていた。

あいつらの苦しむ顔を楽しみに。

憎いとか怒りじゃない。

純粋な楽しさがあった。

火薬や小動物を使っての実験

どう動いたら効率よくこのゴミ溜めみたいな場所に私が開発した爆弾汚い物が綺麗に片づくパイナップルを置けるか


考えた結果が目の前の光景だ。

素晴らしい爆発音

ピンポイントの場所の爆破

来ると思って罠を張っといた場所に予想通りそこに来た元同級生ヒーロー


ヒーローを縛り付けていた鎖が破れる音がした。

自然に笑みが零れる。



仮面が自然に地面に落ちる。

そこには死んだはずの親友の顔があった。

中学校の頃まで続いたいじめ、それに耐えきれなくなって死んだはずだった。

あの頃の正義感を今でも後悔してる。

あの頃の″いじめも認めれなかった程小さい正義感″を


今もそうだ。


あれだけ親しかった親友の胸をの手は貫いていた。

胸を貫かれても親友はしゃべり始めた。


「計算通りさ…悔いも何も無い」


そう言いながら静かに息を引き取った。





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