夏の日のその向こう側
幼なじみとかき氷を食べた後、はしゃぎ回って町の中を走り回っていた。
それがこの僕、
町って言っても田舎で最寄りのコンビニまでは15分も時間が掛かる。
それまでは畑、田んぼ、畑みたいな田舎だ。
1回くらいコンビニまで5分の世界に住みたい。
幼なじみの
俺はその元気に振り回されて河原で休憩がてらに座っていた。
きっとこいつはどれだけ背丈が変わってもこんな感じなんだろうな。
こんなこと考えてるから家族から「中学生なのにジジイ」って馬鹿にされるんだけどね。
「おう、今行くわ」
適当に返事をして立ち上がる。
けどそこに皇の姿は無かった。
そこに居た証拠のサンダルだけが片方だけ落ちていた。
あれから8年の月日が経った。
皇は行方不明、未解決事件になった。
俺は高校を卒業して就職したものの上司とそりが合わず殴る蹴るの喧嘩まで発展した。
その後はクビにされて
エナジードリンクを買いにコンビニまで行ってネットサーフィンして1日が終わる。
そんな毎日だ。
あの日々がフラッシュバックする度に何も出来なかった幼い自分と眩しかった毎日に嫌気が差す。
今日も適当な動画を漁ってジャージに着替えてコンビニに向かう。
ありふれた
夜の畔道は外灯以外なにもない。
夜特有の騒がしさが辺りを包んでいる。
カエルの鳴き声、川が流れる音。
滅多に車の音が混じることもない。
どれをとっても都会にはあまりないものだ。
なんでこんな田舎なのにあのコンビニは潰れないのか不思議だ。
そんな田舎道でも道と分かる感じの道があるはずだった。
明らかな違和感、異物感。
道の先が草原になってた。
後ろを振り返ると道はあるしいつも通りの風景だ。
明らかにおかしい。
しかも本来この先は車道だ。
草を刈り忘れ云々とかはそもそも無い。
道を間違える事もない。
昨日もモン◯ターエナジーを買いにコンビニまで歩いたし
「初めまして、君はあっちの子かな?」
その声の主は草原と道の境目の街灯の上に立っていた。
顔は暗闇で見えないけど服は巫女服だ。
アニメでぐらいしか見たことがなかったからなんか新鮮だ。
「あっちってどっちだよ」
巫女はうーんと頬に指を添えて悩んでいる。
予想だけどこいつが特別な超パワーみたいなのをくれて化け物を倒して倒して倒しまくってこの世界で英雄になるっみたいな?!
ここから俺の無双伝説が始まるっ!!
と心が少し、いやかなりワクワクした。
キン
音を立てて地面に鈍色に光る刀が地面に突き刺さる。
これはプラスチックとか安い感じがしない。
状況からして…本気で言ってる?
落ちてきた位置的にはあの女が落としたらしい。
冷や汗が頬を伝う。
明確な殺意
これはまずいかもしれない。
8年ぶりの冷や汗が背筋を伝う
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