第2話 再会
それで、えーっとどこまで話しましたっけ?そうそう人並みに恋をしてたって話ですね。同じクラスメイトの柏木君に恋してました。彼はサッカー部のエースで、女子の人気者。みんな一回は好きになったんじゃないかな?とにかくそれくらいモテてたんです。だから私は数多くいる女子のうちの一人でした。2年間くらい好きでしたが思いを伝えずにその恋は終わってしまいました。彼にどうやら彼女ができたらしいという噂が立ったんです。なぜそんな噂が立ったのか、周りの女の子たちの会話に耳を澄ませました。
「昨日、エリカが見たらしいよ。学校の裏門から右に出て、すぐ上の階段の下に年上っぽい綺麗な女の人がいたらしい。なんか親しく話してたみたいだから、彼女に間違いないって。今日朝教室に入ってきて、開口一番にその話をしてから本当のことだと思うよ」
「え?そうなの?私はみさきから年下っぽいって聞いたけど?しかも階段の下じゃなくて、公園の広場にいたって言ってたよ」
どうやら女の子たちが勝手に作り上げた噂のようでした。彼女ができたと言いふらすことで、他の彼女候補たちを牽制したかったんじゃないでしょうか。みんなすぐに嘘って分かってたみたいでしたけど、私は信じてしまっていたんです。大人になって考えると、すぐに分かる嘘だったのに。私は、噂がだんだん大きくなっていくにつれて、彼への愛情も薄れていきました。中学生の時の恋はもうこれで終わりです。対して誰とも付き合うことなく、卒業を迎えました。卒業後は地元で一番賢いと有名な進学校に進学することになりました。私、勉強はできたんです。やればやるほど目に見えて上がる数字がなんだかうれしくて。塾にも通っていましたが、私にとって意味のあるものではありませんでした。自分で勉強するだけで十分でしたし、教科書を一度見れば理解できるタイプだったのでそれほど苦労はしなかったんです。母が、みんな通ってるんだからあなたもそろそろ通ったらと世間体を気にして、通うことになっただけだったんです。おっと、話がそれましたね。で、高校に進学してからはバス通学になり、朝7時45分発さくら高校行に乗車しなければなりませんでした。そこで、彼と3年ぶりに再会しました。
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