ポチの五話 ベーカリーわんわんのお手伝いをするよ

「ただいまー」

「ポチちゃん、お帰り」


 今日は学校が午前中で終わりだから、給食を食べて帰ってきたんだ。

 ベーカリーわんわんのお店に顔を見せると、おばちゃんが顔を出してきたんだ。

 丁度お店には誰もいなかったんだよ。


「今日の宿題は?」

「漢字と算数が出ているよ」

「じゃあ、早めに終わらせないとね」

「うん!」


 ポチはね、宿題をぱぱってやっちゃうんだよ。

 その方が、いっぱい遊べるんだよ。

 でも、今日は宿題をやったらポチにはやる事があるんだよ。

 という事で、ポチの部屋に行って宿題開始です!


「うーんと、かきかきかきかき」


 漢字は色々な形があるよね。

 どうしてこんな形になったんだろう?

 ぱっと見ただけだと、漢字ってパズルだよね。


「えーっと、これとこれを引いてっと」


 四年生になると、算数も難しくなるね。

 花先生が、小数点とか出てくるって言っていたよ。

 でも、ポチにかかれば算数なんてちょちょいちょいなんだ。


「よし、終わったぞ!」


 今日は宿題がいっぱいあったから、一時間もかかっちゃった。

 でも宿題は終わりだし、もうポチを阻むものはないのだ。


 ととと。

 じゃー。


 ポチはお手洗いに行って、手を良く洗うんだよ。

 

 たたた。

 しゅ、しゅ。


 今度は台所に行って、ポチ専用のエプロンと三角巾を身に着けるんだよ。

 ポチ専用のエプロンには、大きな柴犬が書いてあるんだ。

 三角巾は、ポチの大好きな赤い色だよ。

 これで、準備万端です。

 ポチはまたとととって歩いて、お店の中に移動するんだ。


「おばちゃん、準備できたよ」

「あら、ポチちゃん、ちょっと時間がかかったわね」

「うん、宿題がいっぱいあったんだよ」

「そうなのね。じゃあ、いつもの所からお願いね」

「ポチにお任せだよ!」


 そう、これからポチがやるのはベーカリーわんわんのお手伝いなんだよ。

 ポチはお手伝いが大好きだから、たまにベーカリーわんわんのお手伝いをするんだ。

 ふふふ、ポチはベテラン店員さんなので、おばちゃんからもいつもので通じるのだ。


「ふんふんふーん」


 ポチはマスクをつけたら、最初にやるのはパンを載せるトレーとパンを掴むトングを綺麗に拭くんだよ。

 パンを掴む所だから、ポチはピカピカにするのだ。


「よっしょ、っと」


 お次は、綺麗にしたトレーとトングをトレー置き場に置くんだよ。

 ポチはちっちゃいけど力持ちだから、重いものもへっちゃらなんだ。


「おばちゃん、終わったよー!」

「あら、早かったわね。流石はポチちゃんね」

「えへー」


 おばちゃんに終わったと報告すると、おばちゃんがポチの頭をなでなでしてくれたんだよ。

 ポチもおばちゃんに頭を撫でられてとっても嬉しいけど、ポチのお手伝いはまだまだ続くよ。


「よっと、ごしごし」


 今度は、モップを使って床を綺麗にします。

 綺麗なお店の方が、お客さんも嬉しいよね。

 一生懸命に、きゅきゅっとしていきます。


「ただいま」

「あ、りっちゃんお帰り!」


 りっちゃんが高校から帰ってきたよ。

 ポチは、モップを片付けるとりっちゃんに抱きついちゃった。

 りっちゃんも、ポチの頭をなでなでしてくれたんだよ。


「ポチちゃんは家に上がっておやつを食べていいわよ。りつ、おやつ出して上げてね」

「分かった、それが終わったらお店に入るね」

「はーい」


 今日のポチのお手伝いはこれで終了だよ。

 りっちゃんと一緒に台所に上がって、洗濯かごにエプロンと三角巾をぽいぽいと入れます。

 りっちゃんと一緒に手を洗って、ポチ待望のおやつタイムです。


「ポチ、今日はちょっと失敗したアップルパイだって」

「わーい」


 いつも、ちょっと焦げちゃったり形が崩れたりしたパンをおやつに食べるんだ。

 味はばっちりなので、ポチにとっては全く問題ないよ。

 りっちゃんがアップルパイを半分に切ってくれたので、一緒に食べます。


 むしゃむしゃむしゃ。

 うーん、今日のアップルパイもとっても美味しいよ。

 ポチの体に染みわたるよ。


「ポチ、お皿は流しに入れておいてね。私、そろそろ行くから」

「はーい、りっちゃんも頑張ってね」


 ポチはアップルパイを頬張りながら、りっちゃんを見送ったよ。

 お皿を流しに置いてっと。

 あっ、体操着と給食セットも持ってこないと。

 ポチは、とととって階段を駆け上がったよ。

 台所に戻ったら、テレビ見よーっと。

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