ポチの二話 学校の朝礼だよ

「おはよー」

「ポチちゃん、おはよー」


 ポチの通っている学校には、ベーカリーわんわんから歩いて十分で着くんだよ。

 ポチは背がちっちゃいから、一番前の席に座っているんだよ。

 ふふふ。

 ポチは人気者だから、皆が声をかけてくれるんだ。


「ポチちゃん、おはよー」

「おはよー」

「ミッケちゃん、リルムちゃん。おはよー」


 ポチに声をかけてくれたのが、一番仲良しのミッケちゃんとリルムちゃんなんだ。

 ミッケちゃんは三毛猫の猫獣人で、茶色のショートカットの女の子。

 背がスラリと高いんだよ。

 リルムちゃんは悪魔族の女の子で、銀色のとても綺麗なセミロングヘアなんだ。

 くりっと巻いた二つの角が頭から出ていて、とってもカッコイイんだよ。


「ポチちゃん、宿題終わった?」

「終わったよ! りっちゃんに見て貰ったんだ」

「そうなんだ。私も頑張ってやったよ」


 ミッケちゃんはとても明るくて、おしゃべりが大好きなんだ。

 クラスメイトにも、良く話しかけているんだよ。


「リルムちゃんは、ぱぱぱってやっちゃった?」

「うん。読みたい本があったから、急いで終わらしちゃったよ」

「おー、流石はリルムちゃんだ」


 リルムちゃんは、物静かで本を読むのが大好きでとっても頭が良いんだよ。

 でも、そんなリルムちゃんもポチは大好きなのだ。

 さてさて、一時間目は国語だったよね。


「確か、皆で俳句を作るんだよね?」

「校庭に出て、題材を探すんだよね」

「春の俳句を作るんだよ」


 俳句は教科書で読んだことがあるけど、作った事はないなあ。

 えーっと、確かこんなのだったっけ?


「確か、『鳴かぬなら 鳴いてしまえ ホトトギス』だっけ?」

「うーん、確かに俳句だけど何でそれを選ぶの?」

「しかも微妙に違っている」

「えー! そうなの?」


 がーん。

 ポチ間違えて覚えちゃってたよ。

 でも良いんだ、この後の授業でカッコいい俳句を作るんだよ!


 がらら。


「はい、皆さん席について下さいね。朝礼を始めますよ」


 おっと、担任の花先生がやってきちゃった。

 因みに花先生は牛獣人の女の人で、黒いロングヘアに牛の角がついているんだ。

 それでね、おっぱいがとっても大きいんだよ。

 とんでもない戦闘力なんだ。

 とっても優しくて、ポチは花先生が大好きなんだ。


「起立、礼!」

「「「おはようございます」」」

「はい、おはようございます」


 ミッケちゃんが学級委員長なので、朝礼の挨拶をします。

 ミッケちゃんは、皆からとっても信頼されているんだよ。


「はい、みなさんおはようございます。今日は、体育のごりお先生が体調不良でお休みになりました。ですので、一時間目と二時間目は、連続して国語の俳句の授業を行います」


 のー!

 ポチが一番輝ける体育の授業がお休みなんて!

 ごりお先生はゴリゴリマッチョのゴリラ獣人で、いつもタンクトップ一枚で風邪なんかひかないと豪語していたのに何で休んじゃうんだよ。

 うう、ポチは大変ショックなんですよ……

 やる気が半減しちゃったよ……


「花先生。ごりお先生ってミミ先生にデートを誘うって言っていましたけど、失敗したんですか?」

「えーっと、プライベートな事なのでノーコメントで」

「また失敗したんだ!」

「またミミ先生に振られたんだ!」


 あ、男の子達がごりお先生が休んだ原因を言い当てちゃった。

 ミミ先生は超美人のウサギ獣人で、保健室の先生なんだ。

 超優しくて、超スタイルが良くて、皆も大好きなんだよ。

 でも、ごりお先生はまたデートのお誘いに失敗したんだ。

 これで何回目かな?


「はいはい、ごりお先生の事は本人に聞いてね。じゃあ、出席を取りますね」


 おー、流石は花先生。

 ごりお先生の事を華麗にスルーしたよ。

 こうして、何事もなかった様に朝礼は進んで行きました。


「ねえ、ミッケちゃん、リルムちゃん。明日には、ごりお先生復活するかな?」

「うーん、難しいかもしれないよ」

「私は明後日になると思う」


 一時間目の国語の準備をしつつ、ミッケちゃんとリルムちゃんと話をします。

 前回ごりお先生がミミ先生に振られた時って、復活するのに四日間かかったよね。

 でも、何回も振られているのに、何でごりお先生はミミ先生をデートに誘うんだろう?

 ミッケちゃんとリルムちゃんもバッサリと切り捨てたし、きっと明日も体育はお休みだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る