5 おねんねたいむ ※ルベリーナ視点に戻ります


「ミルミル?大丈夫?」


私はぼーっとしていたミルミルに声をかける。

ミルミルはビクッと体を動かしてから、私の方を向いた。


一秒という永い時間ミルミルと見つめ合った。

ミルミルは、はにかむように笑って言った。


「大丈夫。……ありがとう。」


ん~!ミルミルの笑顔ってめっちゃ可愛い。

私も追わず笑顔になって頷く。


「ねえ、ルベリーナ~!」

「なに~?」

「ティルもうねむ~い!」


確かにもうすっかり夜になり、辺りは星の光に照らされていた。

モーナだって欠伸あくびをかみ殺している。


私もここまで遅くに起きていたのは初めてだから眠いかも……。

私はティルの発言に同意する。


「そうだね。……そろそろ寝る?」

「寝る!!」

「そうしましょう!」

「……うん。」

「ほんとに眠いっス……。」

「ああ。」


私の提案にみんな一斉に食いつく。


「ねえ、ティル。ここって野生動物とかでないの?」

「え?出るんじゃない?」

「ええ!?」


モーナが悲鳴のような声を上げる。

でもティルはなんて事の内容に言った。


「だって、ここは虫はもちろん、狼や熊、蛇だっているよ?」

「……大丈夫なの?」

「う~ん……。危なかったらその時考えよ?」


私たちは有無を言わせないティルの発言に仕方がなく頷く。


私は魔法で毛布を人数分創り、みんなその毛布にくるまる。


「おやすみ。」

「おやすみなさい。」

「おやすみっス。」

「……。」

「……。」

「……。」


あ、もうミルミルとギルとティルは寝ちゃったみたい。

小さな寝息が聞こえる。

まあ、一番疲れているのは私だけどね……。


だって、気が付けばルベリーナ様になっていたしたくさんの場所に行ったり仲間にあったり……。

でも、正直メルトリア時代よりも生活が充実している気がする。


「ルベリーナ……大好き……。」


ティルの寝言に私は微笑む。

こんなにも愛してくれているんだ。メルトリアもしっかりルベリーナ様になりきらないと……。


もうみんな寝ちゃったかな?

私はそっとみんなの寝顔を覗き込む。


ギルとライアートは幼馴染なだけあって、寝相の悪さやいびきのうるささなどそっくり。

モーナは横向きになり愛おしそうに使い魔であるウサギのリュッテルを抱いていた。

ミルミルは布団にくるまって小さく丸まっていた。狐っぽいけど猫っぽい……。


私はそっとティルを撫でながら布団にくるまる。


布団ふとんあったかい……。眠い……。

毛布のあたたかさに私は気が付けば意識が途切れていた。





辺りが騒がしい。

もう朝?ううん。違う。

まだ暗い……。


ティルの声が聞こえる。




「ライアートはルベリーナを守って!」

「了解っス!」

「モーナはギルの回復を!ミルミルは安全地帯を探して!!」

「わかりましたわ!」

「……うん!」

「ギルはできるだけルベリーナから離すようにして!」

「任せとけ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る