3 ミルミルの過去Ⅱ
私は思わず声が漏れる。
これって、もしかして人間の姿……!?
私は立って見る。
昨日見た人間のように2足でしっかり立っていた。
髪の毛は肩まで伸びていて、狐の毛のように真っ白。
あ、でも尻尾と耳はある。完全な人間の姿ではないんだ……。
でも凄い!!私、人間になれたんだ!!
そう思った瞬間、たくさんの人が私のところに押し寄せてきた。
みんな、耳と尻尾はあるけど人間の姿だった。
「ミルミルっ!お前、何してくれたんだよ!?」
「勘弁してくれよ……!」
たくさんの男の大人たちに腕をつかまれる。
私は急いで謝った。
「ご、ごめんなさい。」
「ごめんで済むことじゃねーんだよ!?」
「ほんとに最悪。」
私は強引に腕を引かれて長老のもとへ連れていかれた。
「長老、ミルミルを連れてまいりました。」
「ご苦労。」
重い沈黙が私と長老の間に流れる。
……もしかして、まずいことしちゃったかな?
「ミルミル、お前はどう責任を取るつもりだ?」
「……わかりません。」
「お前は、無学・無恥・無責任だ。」
「すみません。」
長老は大きくため息をつく。
「判決は今日の夜に言い渡す。」
「はい。」
私は小さく言って長老のもとから離れる。
大変なことになっちゃった……。
私は一人、遠く離れたところに座る。
人間の体になったのは嬉しいけど、ちょっと歩きなれなくて疲れた。
「最低ね。」
「ほんと、どうしてくれるのかしら。」
大人の女性が私を見ながらコソコソ話していた。
どうしよう……。全部私のせいだ。
でも、責任はとれない。
私は逃げるようにして、大人から逃げた。
夜。
私はまた強い力で大人に連れられて長老のもとへ行った。
「ミルミル。」
「はい。」
「お前は、死刑だ。」
「……はい。」
……もう、どうでもよかった。
私はもう責任はとれない。村の人が幸せになれるなら、もうどうでもいい。
私は下された判決を素直に受け止めた。
そして、処刑台。
たくさん人が私を見て、くすくすと笑っていた。
そして、私は覚悟を決めて目を閉じたとき
「待って!!」
と叫び緑色のフードをかぶった少年が走ってきた。
「この人のこと、殺しちゃうの!?」
……悲痛な叫びで少年は長老に尋ねる。
……長老は不思議そうに頷いた。
「うむ。こいつは私たち一族に呪いをかけた。今ここで処刑する。……ところでおまえは誰だ?村のことに口出さないでくれ。」
「ボクはティル。ねえ、お願い!この人をティルにちょうだい!?」
ティルの発言に長老も私も眉をひそめた。
……意味が分からない。
長老は重々しく首を振った。
「いいや。こいつは今ここで殺す。」
「ダメ!……お金はあるよ!?……ほらっ!!」
ティルはたくさんのお金をポケットから出した 。
長老や村の人たちの目つきががらりと変わった。
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