8 盗賊との戦い(2)


ギルは満面の笑みでミルミルからもらった薬を飲む。

すると、ギルのステータスの素早さが2400に変化した。

よし!これで圧倒的に有利!!!


また、先ほどと同じ説明を審判がする。


ギルはまっすぐとライアートを見る。

ライアートは少し困ったように笑ってから動き出した。

刹那、ギルも動き出す。


やっぱり少しギルの方が早い!


でも、ライアートも素早いバックステップでギルの体験を寸前でよける。

ギルは小さく息を吐く。


肩からティルの息をのむ音が聞こえた。


「ギル、本気だ。多分、今から風球のスキルを発動するよ……。」

「大地の裁きはどんなスキルですの?」

「自身の体力を1000削って、攻撃力を300%増加させるやつ。」

「じゃあ、ライアートは即死だね。」

「うん!」


ギルは自分の魔力を大剣に注ぎ込む。

大剣は薄紫色に発光しだす。

そして、モニターに映っているギルのステータスにマイナス1000と表示される。


ライアートは驚いたように目を見開く。

そして急いで距離をとる。


そんなライアートにギルはずんずんと近づいていく。

ライアートは後ずさりし、転んだ。


わ!チャンスだ!!


ギルは1回目の試合とは立場が逆転した様子でライアートを見る。


二人は睨み合う。


すると、ライアートは急に驚いた表情を浮かべて一言。


「お前……ギルって、あのギルっスか!?」

「ライアートってもしかして……あのライアートか!?」


ギルも表情を変える。


「どういうことなの!?ギル!さっさと終わらせて!!」


ティルは私の肩から叫ぶ。うん。罠かもしれないしね……。

だが、ギルは私たちの方を向いて首を振り、説明した。


「こいつ、俺の幼馴染でした……久々すぎて忘れていて……。」


幼 馴 染 を 忘 れ る と は … … 。 


「……でも勝負はどうするのですの?」

「あ~……。オレ、降参するっス。それ以外の話はあとっス!」


そう言ってライアートはおとなしく手を挙げて高々といった。


「ライアート、降参します。」


観客は驚きと不満を隠せないような声が漏れた。

審判も予想外だったようで、動揺を隠せないまま言った。


「え、え~と……、ギル……じゃなくてライアートの降参宣言により、敗者……ではなく勝者は、ライアー……ギル。」


やった~!よくわかんないけど勝った!!








たくさんの人込みから抜け出して、私たちはライアートとギルを囲んで話し合った。


「うわ~……!ライアート久しぶり~。」

「いや~ほんとに久々っスね……。」

「お前、強くなったな~。」

「ほんとっスか!?まあ、ギルには本気でやったからっスね~。」


二人はそれ以外にもたくさん喋り久しぶりの再会を喜んでいた。

そして、がっしりと握手をした。




な ん で 気 付 か な か っ た ん だ ろ う … 。


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