7 まさかの結果


ライアートは冷めた表情で口を開く。

ライアートはあと5回攻撃が出来る。1回でも当たったら、ギルは死ぬ。


「アンタ、ほんとに勇者っスか?弱すぎっスよ。」


ギルは声を出すの辛そうに、肩で息をしながらライアートを睨む。


「どこかの勇者、さよならっス。」


ライアートは冷たく言い放ちギルの腹部に刺す。


「ギルっ!!」


私は思わず叫んだ。

ギルは表情を歪め、吐血した。


そして、体力が0になった。


「勝者、ライアート。」


審判の声が響く。

観客は気持ち悪いほど盛ら上がる。


私たちは急いでギルのところに駆けていく。

ギルの体は発光してきた。そして、光の粒となり宙に舞い上がっていく。


ギルの体も、地面に飛び散った血も、砂のように消えかけていく。


「やだっ!!ギルっ!!」


私は急いでギルに手を伸ばす。

でも、ギルは光となって消えていくばかり。

光はまだ、ギルがいるかのようにあたたかかった。


「……っ。」

「ギ、ギル……。」

「うそ。」


私たちは言葉を失う。

視界がじわりと滲み、嗚咽が止まらない。


「うぅ……。」


これが「死」。

本当に一瞬のことで、今もまだ夢なんじゃないかと思っている。


「ギル……!ギル!!」


私はさっきまで仲間だった勇者の名前を呼ぶ。

もう、会えないなんて……。


「ギル……。返事してよ……。」






「あ、はい。なんですか?」


きっと、こうやってなんでもなく返事をして……って、今の声!?


「「「……ギル!?」」」


私とモーナとミルミルの声が重なる。

声のした方を向くと、確かにギルがいた。

血も出ていないないし、戦う前の姿のギルがいた。


「ギルの幽霊……?」

「え……!?違いますよ!?本体のギルです!!」


私のつぶやいた質問にギルは即答する。

するとティルは胸を張っていった。


「ギルは戦う前に“セーブ”したんだもんね~!」

「あ、はい。一応……。」


セーブ!?


「どういうことなんですの!?」

「ん~つまりね、ギルは戦う前にセーブしたから1回死んでもコンテニューすれば戦う前に戻れるってこと!もし、セーブしたのが1日前だったらほんとに死んじゃったけどね~。」

「そうゆうことですの!?」


ティルはうんうんと頷く。

じゃあ、ギルは1回死んじゃったけど蘇ったってことか!よかった~。

私は急な安堵感に再び涙がこぼれる。



「あ、コンテニューしたんスか?」


急にライアートが余裕しゃくしゃくの顔で私たちに話しかけてきた。

私たちは一斉に身構える。

ライアートは困ったように苦笑しながら言った。


「どうするっスか?もう1回オレとやるっスか?」


ギルは少し考えるそぶりをしてから、力強く言った。


「ああ。次は負けない。」

「……そうっスか。」


ライアートは小さく言い、また審判に手続きを済ませる。

すると、私の横でミルミルが走り出して、ギルの近くに行った。


「……これ、飲んで。」


ミルミルが渡したのは、瓶に入っている小さな薬だった。



「……これ、素早さを2倍にする薬。……これで勝てる。」



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