5 新たな街
ミルミルの言葉に私は唖然とした。
……そっか。確かにかっこ悪かったよね……(´;ω;`)
「でも、」
ミルミルは慌てたように付け足した。
「ありがと。」
小さく笑ったミルミルの表情はとても晴れ晴れしていて、可愛らしかった。
……!よかった~!
すると、一部始終を見ていたみんなは一気にしゃべりだした。
「それでは、出発ですわ!」
「まって!それはティルのセリフ!!」
「あのぉ……俺も勇者だからそれ、言う資格ありますよね……?」
このにぎやかさはメルトリア時代には味わえない、わくわくがある。
私、みんなのことが大好き。
私は息を吸ってミルミルに聞く。
「ミルミル、次はどこ?」
「…………南方向の街!!」
さっきよりも大きく力図良いミルミルの声は風に乗って広く響き渡った。
「なんなんですの!?この人の量……。」
さっきまで生き生きとしていたモーナはぐったりとした様子で言った。
確かに異常なほど人があふれている……。
「ここが街の中心部。……今日は祭り。」
「祭りって……何の?」
「力自慢の男性たちの……殺し合い。」
「こ、殺し合い!?」
ミルミルの答えにモーナは大げさに驚く。
確かに、私もこの祭りは初耳……。メルトリア時代にいたときなんて「祭り」もあんまりなかったもんね……。
「なんで殺し合うんだ?」
「……わからない。……でも、ずっと昔からの伝統。」
ギルの質問にミルミルは淡々と答える……。ちょっと怖い伝統だな……。
「ちょっと俺、様子見てきますね。」
私たちの止める間もなく急にギルは走り出して、さらに人ごみの多いところに駆け込んでいった。
しばらくしてギルの悲鳴交じりの叫びが聞こえてきた。
「……あ、いえ……!違いますっ!ほんとに……違いますからああああ!!」
私たちは思わず顔を見合わせる。
そしてティルが小さくため息をつきながら言った。
「行く?」
私たちは一斉に頷いてギルが言った方向へ走っていった。
人だかりの多いところに私たちは割込み、私は近くにいるおじさんに話しかけてみた。
「あの、すみません……。今、何が起きているんですか?」
「この祭り内容は知っているだろう?男同士の殺し合い。そして今、優勝候補と言われている盗賊・ライアート様に急遽、対戦を申し込んだ愚かな少年がいたんだ。」
そう言いながらおじさんは顎でギルを指す。
すると急におじさんは私の顔をまじまじと見てきた。
「おや……?お嬢ちゃん、もしかして……ルベリーナ様か!?ライアート様も恵まれているなァ。優勝の瞬間をルベリーナ様に見てもらえるなんて……!」
私は褒められているんだろうけど、あまりいい気はしなかった。
ティルなんて私の肩から物凄い睨みをおじさんに向けている。
だって、ギルだって強いもん。ギルは、勝つもん。
ギルが負けることなんて、絶対にないんだから!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます