4 森からの脱出


自己紹介を終え、本格的に脱出することにした。


「わたくしに任せてください。」


モーナは手をもう一度たたく。

すると、再び辺りは闇の中。

リュッテルがモーナの腕から飛び降りる。そして、闇の中を走っていく。

モーナは美しい声で歌いだした。


「わぁ!」


私は思わず声が漏れる。

リュッテルの歩いた場所に色鮮やかな花が咲きだした。

暗闇の中で淡く光り、出口を示していた。


「さあ、いきましょう。」


モーナの声が暗闇から聞こえる。

私たちは、花をたどって出口に向かう。


そして私たちは森の外に出ることが出来た。






「ん……。まぶし……。」


森の外でミルミルは微かに目を細める。

たしかに、ずっと暗闇の中だったから目がチカチカする。


「……!!ここが森の外の世界ですの!?素敵ですわ!!とても、美しく輝いているのですね!?」

「……モーナは森の外に出たことがないの?」


興奮したようにはしゃぐモーナに対して、ギルは眉をひそめて聞いた。

モーナは小さく笑って言った。


「……ええ。今日、初めてこの世界を見ましたの。」

「なんで今までは出てこれなかったの?」

「……お母様が厳しくて……。でも今、お母様は『ミルグカンタ』という国に出かけているので、わたくしは今、自由ですわ。」


心底嬉しそうに言うモーナを見て、私も嬉しかった。

ほんとに、モーナを連れてきてよかった。


「でも、いいの?本当に。森ノ女王はめっちゃ厳しいでしょ?ばれたら絶対重い罰を食らうよ?」


ティルは少し心配そうに聞いた。

モーナは少しうつむき、やがて顔を上げて弱々しく微笑んでいった。


「そう、かもしれません。でも、わたくしはお母様に伝えます。……どうしても外に出たかった、と。もし反対されても、わたくしの気持ちは変わりません。」


凛とした声で言うモーナはとてもかっこよかった。

うん。それなら応援しないとね。




「……ん?」


私はミルミルが少し離れたところでうつむいているのを見つけた。


「どした?ミルミル。」


ミルミルは横目で私を見ながら言った。


「……森の中、役に立てなかった。……ミルミル、案内人なのに……。」


え……。私的にはすごく助かる存在なんだけど……。

ミルミルの肩は微かに震えていた。

私は冷たいミルミルの手を握る。


どうやったらミルミルは元気になってくれるかな?


………今、私はみんなの憧れであるルベリーナ様だ。

私はミルミルの目を見て言った。


「ミルミル、元気出して。私、ミルミルのことがすっごく大切。自分が役立たずなんて言わないで。……それに、私は世界最強の魔法使いですぞ?ご安心なさってくださいまし?」



……嗚呼。

かっこつけようとしたら緊張して語尾が変になった……。

ティルの笑い声が頭上から聞こえる……。


「変。」


ミルミルは真顔で一言。


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