セーブ2

1 ルベリーナの魔法


「ミルミル、私たちはどこに行けばいいの?」


私は早速ミルミルに尋ねる。

ミルミルはキツネの耳をぴくぴくと動かし、少し考えてから言った。


「近道、森。……行く。」


ミルミルは頼もしく先頭を歩きだした。

私たちは急いでついていく。


森への道は静かだし、朝なのに木々に遮られて薄暗かった。


「い、いや~……なんか怖いですね。」


私はギルのつぶやきに大きく頷く。

するとティルは不思議そうに言った。


「怖いの?じゃあ、ルベリーナ。魔法使ったら?あの、周囲を明るくするやつ。」


私は急にティルに言われて驚く。……できるかな?



『魔法を使った後の未来を想像してください。』



ふと、ルベリーナ様(本物)の言葉を思い出した。

私は魔法を使った後の未来を想像してみる。

周囲を明るくするやつ……無数の光の粒が空から舞い降りてきている感じかな?

光の色はあたたかいピンクやオレンジ、黄色とか……。


想像を膨らますと、「力」が集まっているような感覚がした。

そして、力が最大限に集まったとき、私の心の中で力が「爆発」した。


すると、実際に高い空から美しい色が降り注いできた。

……息を忘れるほど美しく、心の奥底まで明るくなる。


……これがルベリーナ様の力……恐るべし!


「こ、これがルベリーナ様の力……。」

「……きれい。」


驚いたように目を見開いてギルとミルミルは言う。

ティルは誇らしそうに胸を張った。


「どう?ティルのルベリーナの力は!天才でしょ?」


私は思わず笑みがこぼれる。

ティルはしばらくギルとミルミルにルベリーナ様の凄さを語った。


「ルベリーナってね、喋れない動物とも会話できるの!この前もね、迷子のウサギと会話して元の世界に戻してあげたんだよ!」

「……すごい。」

「でしょ?それにね、ルベリーナってすっごく優しいの!ティルがおなかすいたら、ゴハンを分けてくれたの!」

「いいね~。」

「うふふ~。ルベリーナって最高なんだ~。」


ティルはルベリーナ様のことをべた褒めする。

私も、思わず聞き入ってしまった。

……やっぱりルベリーナ様ってすごい。


「でね……。」


ティルが何か言おうとしたその時、ドクンと心臓が大きく動いた。

空気中の酸素が少しずつなくなるような感覚に襲われる。

力もだんだん抜けてきて、歩くことさえできなくなってしまう。

私は思わず倒れこんでしまう。

……なんだろう……。すごく、苦しい……。


「ルベリーナ!?どうしたの!?おなか痛いの!?」


ティルの悲鳴交じりの声が響く。

ギルもミルミルも一斉に私の方を向く。



「ごめん……。ティ、ル……。な、なんか、く、るし……い。」



私は酸素を必死に吸いながら言う。

するとティルは切羽詰まったように言った。




「ルベリーナ!魔法を解除して!早く!例の呪いのせいだよ!早く!」


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