2 王様からのお願い


王様の部屋に通じる長い廊下をティルと一緒に進む。


「ねえ、ティル。なんで私は王様に呼ばれているの?」

「……?なんでって、あの“呪い”についてでしょ?『4分以上連続で魔法を使ったら死ぬ』ってやつ。やっぱ、魔法の国であるソーマタージーは辛いよ。」

「そ、そう。でも、なんで私なの?」

「だって、ルベリーナは世界最強の魔法使いだよ?魔王の呪いなんてちょちょいのちょいでしょ?」

「え、あ、そう。」


私は相づちを打つ。

すごい……。ティルが今私の必要な情報をすべて言ってくれた。

なんだか、すごくプレッシャーが大きい。


「さあ、ルベリーナ。入ろ?」

「う、うん。」


わたしとティルはキラキラと輝いている部屋に入った。

こんな部屋は初めてだから、目がちかちかする。それに床にひいている高級そうなマットを足で踏むのも、なんだか申し訳なかった。


そんな部屋の中央にある大きな椅子があった。

そこにはひげもじゃのおじいさん。

見たこともない素敵な王冠をかぶっているから……もしかしてこの人が王様?


「よく来たな。ルベリーナ君。」


私はくん付けに驚きながら、汗ばむ手を握る。


「……早速だがルベリーナ君に頼みたいことがある。……わかっているだろうけどこの国にかけられた呪いを解いてくれ。」


私は「はい」と言いかけたが、ティルに抑えられた。


「待って、ルベリーナ。……王様、まさか無償なわけじゃないよね?」

「は?」

「え?」


私と王様の声が重なる。

ちょっとティル!!なんてこと言うの!?無礼じゃない!!

私は急いでティルを下げようとしたら、王様は言葉を継いだ。


「あ、ああ。もちろん無償ではない。呪いを解いたら金貨を2000枚やろう。」


金貨2000枚!?

私は急な大金に驚く。こんなにもらってはいけない!!

断ろうとしたら、


「ちょっと王様……。ルベリーナをなめてるの?ルベリーナ、そんな安くないんだけど……。少なくない?」

「うぅ……。」


私は二度驚く。

ティル……この子、すごい……。


「少ないから、協力しないかな~。」

「ち、ちょっと待つのだ。……うん。そうだな……。金貨5000枚でどうだ?」

「う~ん。……まあ、こっちは命かかっているからな~。」

「むぅ……。なら、100000枚でどうだ!?」

「やりますっ!!」


ティルが勢いよく言った。

私も王様も思わず苦笑い。


「じゃ、王様ありがと。ティルたち行くね。さ、行こ。」


私はティルに押されながら王室を出て行った。


「ルベリーナ、外出る前にちょっと来て。」


ティルは私より少し前で飛んでいたが、くるりと振り返っていった。

私はティルに言われるままついて言った。



「王様に用意してもらった“仲間”を紹介してあげるっ!!」


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