セーブ1

1 世界最強になりました。


カーテンから暖かい光が差し込んで私は目が覚めた。

違和感を感じた。

あたたかく立派な部屋着に、大きな部屋。窓から見える景色は今まで見たことのない美しい景色。


それに、亡き母からもらっているネックレスがない……。


「もしかして、私……誘拐された!?」


肩までしかなかった髪の毛はなぜか20センチほど伸びていた。

あと、声も変わった……。

え、成長期?


コンコンと小さく扉をたたく音がした。


「ルベリーナ?入るよ?」


ぎゃああああああ!!!!鳥がシャベッタァーーーーー!!

扉から美しい黄緑色の小鳥が入ってきた。

ちょっと待って!?今、ルベリーナって言った!?


「ルベリーナ!まだ着替えてないの!?やばいじゃん!今日王様に呼ばれている日だよ!?遅れたらティルが怒られるんだから……!!」

「あ、あの……。」

「じゃ、5分後また来るからちゃんと着替えるんだよ。」


ティル?と言った小さな小鳥はまた出て行った。

ノオおおおお!!!私っ、メルトリア!


……でもティルは私のことをルベリーナって呼んでいたよね?

もしかして……いや、まさかね。そんなはずないよね……。

私はおそるおそる大きな姿見をのぞく。


「……っ。」


目に映った私の姿に言葉を失う。

この姿はっ……まぎれもない……ルベリーナ様の姿だ。


ルベリーナ様のことを知らない人はいないだろう。

なんて言ったって彼女は世界最強の魔法使いだから……。

そのお方と入れ替わってしまった系!?

ということは、ここは私の住んでいる国の隣である魔法の国、「ソーマタージー」か。


私は呆然と鏡を見つめる。

すると、鏡の中の「私」が動いた。優しい目を表情を浮かべて喋った。


『メルトリアさん、ですよね?どうやら貴方と私が入れ替わったみたいです。……私は解決方法を探ります。……ですからメルトリアさんは精一杯“ルベリーナ”として過ごしてください。』

「……あの!私っ、魔法とかできないです!どうしたらできますかっ?」

『魔法を使った後の未来を想像してください。そうしたら、魔法が使えます。……大丈夫です。できないことはありません。……だって“貴方”は世界最強ですから。』


ルベリーナ様は優しく笑い、再び「私」が映る。


なんでルベリーナ様と入れ替わってしまったのかは分からない……。

でも、きっとこれは神様が私にくれた「チャンス」

精一杯楽しまなくちゃ!!!



私は大きなクローゼットの中から魔女のローブを着る。

少しぶかぶかだが、なぜか落ち着く安心感がある。


また扉をたたく音が聞こえた。

ティルが入ってくる。


「ルベリーナ!準備は出来た?早く王様のところに行こ?」

「……わかったわ。」


私は頷き、ティルについていく。



メルトリア、本日をもって世界最強のルベリーナ様として生きていきます!!










【作者の独り言】


メルトリア、軽すぎ。


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