設定:1 プロローグ
私は箒を握って庭の枯葉を払う。
私は自分のボロボロになった服を見てため息をつく。
そろそろ買い出しにもいかないと……。
私に自由はない。
仕事が絶えない生活。
趣味である裁縫はほんの少しの間だけ。
上手にやらないと怒鳴られる、睨まれる、口をきいてもらえなくなる。
理不尽な世の中だ。
「オトナ」の力にはどうも勝てない。
ただ、私の存在理由が分からなくなる。
私は今ただの操り人形だ。
「人」ではない。
だれか、こんな私を助けてください。
「お~い!メルトリア~!!俺もなんか手伝うか?」
「ううん!大丈夫。ありがとう、シェリック!!」
でも、貧乏なことが不幸なわけではない。
幸せは自分で作っていくものだと思うから。
たとえ、生きる意味がなくなっても何とかなると思っている。
だが、どうしてもお金を持っている人を見ると羨ましく感じてしまう。
「メルトリア。掃除はもういいわ。冷えるから中へ入っていらっしゃい。」
コナーさんが声をかけてきた。
良かった。今日は機嫌がいいみたい。
私は小さく頷いて、箒を片付け始めた。
私には、お父さんもお母さんもいない。
だから、
私は急いで家の中に入る。
隙間風は入ってくるが、ほのかな温かさがある。
「お疲れ、メルトリア。」
「お疲れ様です。」
この家は貧乏だが、私は幸せだ。
私は死んだ母からもらっている金色のネックレスをぎゅっと握る。
神様。もしいるなら聞いてください。
今の生活はとても辛いです。
もし、よかったら「主人公」になってみたいです。
ずっと「モブキャラ」は嫌です。
私のネックレスはあたたかい光を放った。
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