2.目覚め
「……ん」
「あ、ようやく起きた」
となりの体が離れるのに気づいた僕は、暇つぶしに眺めていた単語帳を閉じて隣に置いた。。結局遅刻しても一緒だろうと思い、しばらくベンチに座ったまま彼女が目を覚ますのを待つことにしていたのだ。
寝ぼけ眼をこすり、こちらに向けられた目のピントが徐々に合ってくるのが見てわかる。
「……あの」
「何?」
「なんで私は、知らない人に腕を回されているのですか?」
「そこで寝てたから」
僕は階段の方を指す。
「そこって……はっ」
ようやく自分のしていたことに気づいたのか、徐々に顔を赤らめて僕のそばから飛びのく。
「ほんとごめんなさい! ご迷惑をおかけしました!」
「別にそんな謝らなくていいって。周りが見たらどう思うか……って、誰もいないか」
ぺこぺこ頭を下げる彼女を何とか落ち着かせ、再びベンチに座らせる。
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