序章 過去の話

〜壇田視点〜

(ここ、は、どこなんだ、、)

(こんな駅見たことない、灯りがついただけ?いや、線路も途中で切れてるし、元々こんなに開けた場所でもなかったはずだ。)

だとしたら、元の場所には戻れなさそうだな。

(蒼も巻き込んじまったな。)

(でも、)

「1人じゃなくて良かったね。」

「!!」

「あの時別行動してたら、僕たちすぐ死んでたかも。」

「、、」「なぁ、蒼、、」

「あ!この蔓とかで少しは水飲めるんじゃないかな」蒼がそう言って蔓をちぎった

すぐ後のことだった。


突然、風を切る音が聞こえた。

音の方向にバッと振り向くと俺の目の前に向かって弓が飛んできていている所だった。



〜?視点〜

もう何日も怪物が現れてない、、

確かにここは街外れだけど、こんなに1匹も現れないなんて今までなかった。

でもたまには僕に劣らないほどの、この優雅な休日を満喫するのも悪くない、、

「ん?」「あれ。」

限りない緑に囲まれた、倉庫のような物が

1つ、野原に顔を出していた。

「おぉ、少し手を加えれば、僕の庭にでも、、」

「!」

人?こんな所に2人も、、

そして1人の子供が蔓をちぎった瞬間、

「?!」

エネルギー反応!あの蔓から漏れ出たのか?

まずい、あの子たちの周りに怪物が寄りついてる。

怪物のランクは4段階あって

1番下から、知性がない怪物、

人に化けることができ、猿くらいの知性は持っている怪物、

完全人型で人間と同じ知性を持つ怪物、

そして最高ランクが巨大災害級の被害をもたらす〝怪物〟

今いるのは真ん中くらいのレベルかな。それでも数が多いと困るし、あの子たちに話も聞かなきゃだし。

「紳士たるもの、困っているものを見捨てる訳にはいかない!」

「でも、、はぁ、数年ぶりに故郷に戻ってきたと思ったらこれとはね。これだとほぼ仕事じゃないか。」

僕は弓を構えた。

「とっとと終わらせよう。」



〜壇田視点〜

「あれ、、?」俺のギリギリ真横を弓は飛んでいった。

「隆大!あっちに人がいる!多分あの人が弓を放ってきたんだ!」

「でも、当たってねぇし、、」

「何言ってるんだよ!それはあの人の弓の技術が、たまたまなかっただけでしょ?!逃げるよ!」



〜?視点〜

逃げた!

あいつら、もしかして怪物が見えてないのか?

おかしいだろ、、

ちょっと待て。おいおいおい、怪物が町の方向かってるな。お前らが逃げてるせいでな。

くっそ、思ったよりややこしい話になってきそうだな。

おっといけない。口が悪くなってしまったよ。こういう時こそ優雅に冷静に、、

「あ、隆大!あっちに街がありそう!そこに行けば助けてもらえるかも!」

「ほんとだ!」

「ちょ、おぉい!そこのガキ2人!!止まれぇぇ!」


〜壇田視点〜

「どうしよう、隆大!あの人めちゃくちゃ僕たちのこと追いかけてくる!」

「お前らじゃねぇよ!!!」

「なんかいった!」


聞こえてないことを察したのか、大声を出してその人は言った。

「いいかーー?!お前らの後ろにはーー!怪物がいるーーー!街の方に行ったらヤバいからーー!少しずつ方向転換して、怪物を街から遠ざけろーーー!」


「ナルシストっぽい上に視える系きどってるよ!」

「黙れクソガキ!!」

「俺たちにはーーー!あなたがーー!殺意だけはあるけど、技術が全然追いついてない人にしか見えないーーー!」

「ちょっと隆大!あんまり挑発しない方がいいよ!」

「だーかーら!お前らを撃とうだなんて思ってねぇよ!」

「もういい!とりあえず指示通りに動けよ?!」

「えぇ、、」


『…音は氷!』

「雪魄氷姿!」《せっぱくひょうし》


鋭い無数の氷が俺たちに見えない何かを

凍らせていく。あの人が言ってたのは本当だったのか。見たい、探せ、音を、、!



ーーー聴こえた!



「蒼!俺、」


「、、蒼?」


「隆大、」


「任せてね。」



「へ?」

隆大に思いきり背中を押された。それと同時に地面に大きなブラックホールのような物が現れ、それは途端に蒼と無数の氷を連れ去った。


「蒼!蒼!!…」

連れ去られた、蒼が。

あぁ、1人に、なってしまった。











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