第2話 最初のお仕事

創世神とは自分の神力を対価に世界を造り、その世界を運営することで神力を回収し、余剰分の神力を神界(第1創世神の造った世界)にある回収箱に入れることが主な仕事である。回収された神力は神界の維持や新たな神を産み出すことに利用される。

というわけで、創世神となった今やるべきことは世界の創世である。

世界の創世には2パターンあり、1つ目は世界の実という果実に自らの神力を注ぎこみ作る方法である。2つ目は、生命が存在可能な星と呼ばれるものとその周辺の環境を創世神自ら作る方法である。1つ目の方法は信仰心を持つことのできるだけの知能を持った生物が発生する可能性は2つ目の方法に比べて低いが成功すれば2つ目の方法とは比較にならないほどの信仰心を持つことのできる生物が発生することがある。

今回は初めて世界を創世するので、確実に信仰心を、持つことのできるだけの知能を持った生物が発生する2つ目の方法で行おうと思う。そのためには、作る世界の理を決める必要がある。

とりあえず、初めてなので魔法というものが使える世界にしようと思う。魔法を神からの祝福を得ることで使えるようにすれば信仰心を集めることが容易になり、神力を集めやすくなる。それに、少々手違いで神罰といわれるものを使ってしまったとしても世界の生物の絶滅は防げるはずだし…。神罰は起こそうと思って起きることが大半だが、まれに作った世界を覗いている最中に感情的になって神力が高まってしまって起こることもあるので対策は必要だ。あとは、信仰心を持てる知能を持った生物を作るのだけれど、今回は創世の教科書に載っている一般的なものを作っておこう。後は陸と海の割合だとか、空気中の物質の割合、地形等々色々と考えることは多いけど、とりあえず、信仰心を持てる知能を持った生物はそれぞれの種族ごとに陸地を準備してしばらくはお互いが交流できないように海で隔てておこう。あと、造ってからは緊急時を除いてあまり手を出せないから代わりに何かあった際にとりあえず絶滅を防げる程度の力を持ったものを世界に放しておこう。それらは特別な力がある方がいいから直接私の身体から作るとしよう。私の身体からとはいったものの、これから世界を造るのだから神力は温存しておきたい。なので、腕や脚、目のような無くなると困るものからは作れないな…仕方がない、髪から作るとしよう。髪は女神なのだから伸ばしておくべきだとゼンに言われて切らないでいたんだよね。おかげでとんでもなく長くなったから最近は空間ごと折りたたんで腰よりも下に髪がいかないようにしていたし。

「ホイ!」

数千年か数万年かは分からないが久々に折りたたんでいた空間を全て開いてみた。腰より下にかかってきたら折りたたむようにしていたから気がつかなかったけれども私の髪は非常に長いようだ。創世神になったお祝いとしてもらった屋敷が髪で埋もれてしまった。確かこの屋敷は非常に広くて屋敷の周りは歩いてまわるものではないと思っていたのだけれどそんな屋敷が埋もれるとは。まあ、これでいくらでも作れそうだ。何を作ろうかな?とりあえず、陸地や海を造ってから考えようかな。きっと特別な力を持った神徒を造るよりも時間はかからないだろうからね。

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