創世神のお仕事

カエル

第1話 創世神になりました

「今この時を持ってそなたを第32柱目の創世神に任ずる。これより自らの世界を創造に励め。」

「謹んでお受けいたします。」


なぜこうなった!今日は創世神が創造した世界ではなく、何らかの理由で勝手にできてしまい、その後、数柱ができた経緯を調べた資料が本部の資料室にあるらしいから確認して来てほしいと上司に頼まれ、本部に赴いただけだったはずなのに…本部の受付で資料室の利用申請をしていたらいきなり来た創世神たちに捕まり、任命されてしまった。任命式は形式的なものであり、決められたこと以外話してはいけないという暗黙の了解がある。そのため、受けるしかなかったのだが、本音を言うと断りたかった。だが、受けてしまったものは仕方がない。そもそも創世神に意見することができるのは創世神だけなのだから今回は意見することすらできやしない。

どうしようかと悩みながら廊下を歩いているとよく見知ったやつに声をかけられた。


「よう!ノア。いや、第32位ノア様とお呼びした方がよろしいですかね?」

「やめろ!ゼン、お前にそう呼ばれるのは気持ちが悪い。それに私が創世神になりたがっていなかったことぐらい知っているだろうが!」

「そうだな。だからお前は創世神が創造した世界ではなく勝手にできてしまった世界を管理している奴らの補佐を中心にしてきたんだよな。」

「そうだよ!そもそも創世神になるには創世神が創造していない世界を管理する管理神になってその世界を十分に繁栄させる必要があると聞いてたから補佐以上の役職にならないように注意して仕事をしていたというのに!」

「はぁ~。全くお前というやつは自分の優秀さに気が付いていないだろうとは思っていたがここまでとは思わなかったぞ!」

「どうゆうことだ!私は頼まれた仕事は期日以内に終わらせるようにしただけで、何も特別なことはしていないだろうが!」

「違うぞ!最初の方は誰でも簡単にこなせる仕事を頼まれていたが、最近は管理神がこの世界はもうなくすしかないと思うような世界を無くさずに継続させるための業務を押し付けられていたんだぞ!だから、もしお前が失敗したらその世界はなくなっていたんだぞ。意味わかるか?お前はそんな世界を再び繁栄させてきたんだ。しかも1度や2度ではなく数千回も。そんなお前が創世神にならなかったら誰がなるというのだ!」

「そりゃあ、優秀な奴。」

「今、創世神様たちを除いた神々の中で最も優秀な奴はお前だよ。ノア」

とても呆れた顔をしながらゼンは言い切った。

「えっ!」

「まあ、世界の創成がんばれよ!もし手が必要だったら今までお前が助けてくれた借りを返すために手助けをしてやるから言えよ。」

「おう。それじゃあ、助けてくれ!」

「いきなりかよ!なんだ!」

「変わってほしい」

「それは無理だ。本当にすまない。」

そういうとゼンは足早に放心して動けなくなっている私を置いて去っていった。

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