第14話 お怒り
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「大丈夫? 」
メノウが膝を擦りむいて痛がっている。
ほかにも打撲とか目に見えないダメージがあるのだろう。
私は彼女を気遣い手を差し伸べる。
すると、メノウはその手をはねのける。
「気安く触らないで!!さっきも勝手に肩とか触って、馴れ馴れしい!!」
「えっ!?」
私は非常に驚いた。
「なんだコレは、新手のツンデレか!?
せっかく助けてあげたのに。」
「はあっ!?ツンデレ!?
何訳わかんない事言ってるの?
助けてあげたですって!?
もとわといえば、あんたが転移門のトラップに引っ掛かったせいでこうなったんでしょうが!!
どう責任をとってくれるのよ!!」
メノウ様は心底ご立腹らしい。
いや、今までずっと我慢していたが今回魔物たちに攻撃された事でいっきに爆発しただけかもしれん。
そういえば、エレスには彼女に対しては礼儀正しくして粗相のないようにしろとかなんとか言われたような気がする。
たぶん良い所の貴族か何かのご令嬢様なのだろう。
エレス姫様とは違ったタイプのツンデレさんだ。
「転移門の事はもう謝ったでしょう?」
「謝ってないでしょう!!
しかも私のせいにしようとして!!
この、優秀な魔法使いの血をひくこの私のせいにしようとするなんて!!」
メノウが杖をついて立ち上がる。
「 その上さっきは私の名前を間違えたわね。」
駄目だ。次から次へ私の問題点を並べてくる。
何とかしてご機嫌をとらなければ。
「はい」
そう言って私はポーションを彼女に差し出す。
「ポーション?そんな安っぽいアイテムなんていらないわよ。
ケガくらい、回復魔法で自分で治すわ。」
メノウは、ポーションという低価格のアイテムが嫌いなのではなく、私からアイテムをもらうのが嫌なのだろう。
「ダメよ。メノウ。これからまたまだ沢山の魔物たちと戦う事になるわ。
魔力は少しでも温存しておかないと。」
「 いらないって言ってるでしょう!! 」
そう言ってメノウは草原を歩いていく。
メノウは自分に回復魔法をかけると、早足で歩いていく。
私は彼女の顔を見ながら歩いていく。
そして、どう話を切り出すか考える。
彼女に提案したい事があるのだ。
だが、その提案は非常に言いにくい事であるため、私は躊躇している。
キッ メノウが振り返り睨みつける。
「 何!?さっきからジロジロ見て。」
「 あの、メノウ、1つ提案があるんだけど、その武器、その魔法の杖、こっちに渡して頂戴!?」
「 えっ!?」メノウが怪訝そうな表情をする。
「 変わりに、渡したい武器があるわ。」
そして私は、ウィザード・ソードという紫色の剣を取り出す。
「 はあっ!?あんた何を言ってるの!!」
「 この剣はウィザード・ソード。持ち主の魔力を破壊力に変える事ができる剣よ。」
「 そう言うことを言っているんじゃないわ。どうして私が、この剣を装備しなけゃなんないのよ。しかも、この魔導師の杖はわが家の代々伝わる家宝なのよ。
どうしてそんな剣のために、私がこの家宝の杖をあなたに預けなくちゃならないのよ。
私は、魔法使いの名家の血統だって言ったでしょう?」
メノウが全力をもって嫌がる。
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