9:模擬試験

※今回は20代半ばから後半女性のイメージで演技をお願い致します


//SE たきぎの燃える音


//SE ハイヒールの音


//SE 木のドアが開く音


「さて、模擬試験もぎしけんね。今回は容赦ようしゃはしない。これは本番と思ってね」//冷静かつ少し尊大そんだい


「ん、そのスタイルはどうしたかって?キミが少女のようだというから、今回はちょっと自分をいじって大人になってみたの。私にできない事は無いわよ」//不敵ふてき


「それに、試験はこういう大人が回りにいるからね。慣れておくのもいいと思わない?」//冷たくもどこか優しそうに


//SE 紙の音


「それでは、準備を。私が『始め』といったら試験用紙を表にして問題を解いて」//できる限り感情をこめずに


「私が『止め』と言ったら、試験用紙しけんようし裏返うらがえす事。ちなみにこの山奥では電波は入らない。つまりスマートフォンや携帯電話はまったく使えないわよ」//冷たくもどこか優しげに


「では、準備を」// 感情をこめずに


「始め」//無機質むきしつだが、ささやくように


//SE 紙の音


//SE 鉛筆と消しゴムの音


「……そのまま問題を解きながら、聴いてて。私はキミのレッスンを終えたら、日本をつわ」//冷静れいせい


「プライベートレッスンもしばらくお休みかな。ひょっとしたら、キミが最後の教え子になるかもしれないね」//さみしそうなひとごとのように


「でも、安心して。キミは十分に自分の実力を証明しているわ」


「キミが解いてきた問題は、確かにビギナー向けの問題を入れていたの」//冷静に分析するように


「……だけど、数問だけ、海外の一流大学の講義で出てくる問題を混ぜてたいたのよ。それなのに、キミはいつの間にか解いていた。正答率せいとうりつ91パーセント。驚いたわ」


「ほんと、これだけの素質があったとはね。それともどこでやる気を見せたのかしら……」//あきれたように


「あぁ、確かにキミに愛の言葉をささやくとか言ったわね。それがファクターかな」//苦笑


「いいよ、キミがこの模擬試験もぎしけんが93点以上ならば、愛の言葉というのをささやいてあげる」//軽く挑発するように


//SE 鉛筆えんぴつの早い音。デッサンする時のイメージ


「さて、残り数分。早く終わらせなさい」//少しプレッシャーをかけるように


「私のこの程度の言葉で折れるようではいけない。くやしかったら早くしてみせて」//挑発するように


「……」//ため息


「そうか、もう私の言葉も耳に入らないようになってしまったのね。それでいい」//うれしくも、どこかさみしそうに


(無音2秒)


「止め」//少し強めに


//SE 紙の音と鉛筆えんぴつの置く音


「それでは、確認しようね」//冷静に


//SE 丸をつける音とチェックの音(丸7割・チェック3割)


「結果は」//冷静に


「……」//ため息


「98点、おめでとう。これだけの得点が取れるなら、どこにでも合格できるわよ」//静かにたたえる


「しかし、愛の言葉を、か。われながら面倒な約束をしたなぁ」//苦笑


「でも、約束は守るよ。それじゃあ、耳元でじっくりと聴いてね」//ルビのところを強く


「……」//静かに息を吸う音

 

「Grazie, mia allieva.」//少し遅めに言い含めるように


「Ti voglio bene.」//少し微笑を含めて、言う


「E ci rivedremo qualche volta.」//感謝を込めて


「……Vi aspetto ad Amalfi. 」//聞き手に期待をこめて


「誰も日本語で言うとは、言ってないわよね」//大人のいたずらっぽさ


「ヒントをあげる。この言葉の意味が分かるのなら、私はそこにいるからね。まぁ、志望校に合格したら来たらいいわよ。後、ここからのおむかえはすぐ来る事になっているから安心してね」


「キミとのレッスンは楽しかったよ。それじゃ、またいつか」//苦笑しながら寂しそうに


//SE キス音


//SE 靴の音


//SE 木の戸が閉まる音


//SE たきぎの燃える音をしばらく流してフェードアウト

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