Extra Muscle「ねえピンチ!」
(教室に向かって駆けてくる足音)
(ガラッとドアが開く)
「ねえピンチ!」
「リハビリの専門学校の入試って、筋肉の試験ってないんだって……!!」
(間を置いて)
「当たり前じゃんって、知ってたの?!」
「……それより教科の成績がヤバいからそっち勉強しろって、担任に言われた……」
「え、いまの判定?
……んてぃ……」
「でぃ、D判定です……」
「そ、そんな生ゴミを見るような目で見ないでよ~っ」
「……えっ、勉強付き合ってくれるの?!」
「……って、しばらく触診なしって……マジ?!
そんなの、なにを楽しみに生きればいいの……!!」
「ヤダ、ヤダ、むり!!
楽しみがないと勉強なんて頑張れないよぉ!!」
「……1日頑張ったら、ご褒美?
ご褒美で触診していいってこと?」
「……じゃあ、がんばる」
「でもさ、キミは大丈夫なの?
自分の勉強とか……」
「え、A判定?
キミ……ほんと頭イイんだね……」
(ノートにペンを走らせる音)
(午後6時を報せる音楽が鳴る)
「んん~……っ」
「勉強しすぎて脳みそが溶けそう……」
「なんか雨降りそーだし、帰ろっか」
(帰り支度をしながら)
「キミってすごいね。全然集中とぎれないし、聞いたらなんでも答えてくれるし」
(教室を出て、階段を降りる)
「カテキョ代、払わなきゃ……って、もう雨降ってるし!
傘持ってきてないのに~っ」
(バサッと傘を開く音)
「家まで送ってくれるの?
ありがと~、優しいカレシがいてよかった」
(相合傘で、歩いて帰る)
「……あぁ゙っ!!」
「ご褒美の触診、してない!!」
「つらたん……せっかく頑張ったのに!」
「……しゃーない、今触ろう」
(さわさわさわ、と腕を撫でる)
「これかな、腕撓骨筋。
ひじから親指側の手首にのびてて……
親指を上に向けたまま、ひじを曲げるとはたらくんだって」
「そう、ちょうどいまみたいに傘さしてる時にはたらいてるの。
……あー、わかるわかる、筋腹が思ったより太い」
「前腕の筋肉っていいな……前腕だけで20個くらい筋肉あるらしいよー」
「え? 相合傘して腕くんでるみたい?
たしかに、はたから見たらとんでもないイチャイチャカップルだね」
「……あぁ゙っ!!」
「今日、チューしてないよぉ……」
「だってもう、触診とチューはセットじゃん!
付き合ってるんだし!!」
「珍しく勉強なんてするから、チョーシくるっちゃった……」
「え? うん、明日も……勉強する。
志望校受かりたいし、ご褒美も欲しいし」
「ん? ごほーびって……」
(ちゅっというリップ音)
「ふ、ふいうち~~~っ……!!」
「相合傘しながらキスなんてそんな高等テクどこで覚えた?!」
「一瞬すぎてなんかもう感触残ってない……」
「ね、もっかい、しよ?」
(ちゅっというリップ音)
「……うん。こんどはちゃんと、感触おぼえてる」
「ふふっ、ご褒美あるならいくらでも勉強がんばれそー♪」
「しっかり面倒みてね、セーンセッ」
Extra Muscle 腕撓骨筋 Clear!!!
Next ⇣⇣⇣
〘触診好きなギャルと付き合ったら奔放すぎて困ってる。〙
となりの席のギャルが筋肉に目覚めて俺を触診してきてかわいい。 pico @kajupico
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