第5話僕の師匠(センセイ)

 僕の師匠センセイは、仙人です。


 だけど、仙人界には身を置かず、下界ー人間が住む世界を仙人達はこう呼んでいるーに身を置くことを選んだ変わった仙人ヒトです。


……と、ついこの間までそう思っていたけど、仙人には下界でひっそりと暮らすタイプと、仙人界でのんびりと暮らすタイプの2種類いて、師匠は先に書いた方のタイプです。


 そんな師匠センセイに僕は5才の時突然襲って来たイン軍の兵士から助け出されました。


 何故、イン軍達が僕の村―集落―を襲ったのか分かりませんが、師匠が助けてくれた瞬間スガタははっきりと覚えています。


 恐怖でウズクマっているところを、白馬に乗った師匠は走りながらひょいっと僕を片手で抱き上げ、そのまま去って行きました。


 とても格好良くて、思い出す度に胸がキュンとします。


 師匠センセイは、見た目20~30才ぐらいの、顔が整った男性です。


 なので、女性にもてるかもと思い、疑問をぶつけてみましたが、特にそのようなことはないそうです。


 実は、師匠センセイには精霊という頼もしい味方がついていて、彼等の得意とする個々の力で、僕達を悪者から助けてくれるらしく、いつも“有難い存在だ”と、仰っていました。


 でも、僕の前には中々姿を見せてくれません。


 なので、いつか僕も精霊達が仲間になってくれるような仙人になるべく、修業を頑張ろうと思いました。


 師匠センセイがあの時救ってくれなかったら、今の僕はこの世界にいません。


 本当に助けてくれて有難うございました。


 いつまでもお元気でいて下さい。



ー・ー・ー・ー・ー・ー・


 く~、可愛いなぁ……


 あの頃は“素直でとても可愛い!”と、集落の人々に会う度にそう言われていたのに。


 何故大きくなった今、何処でどう間違ったのか、捻ねくれて育っしまった……


 本当、不思議で仕様がないよ。



お仕舞い。


令和3(2021)年5月10日作成

Mのお題

令和3(2021)年5月10日

「先生」





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