サイド‐由美‐
‐由美‐
これは遺書だ。
ホワミーの彼氏は、別の女と死んでいた。
コインロッカーにあった手帳には、そのあたりのことが事細かに記されており、犯罪に巻きこまれたのだとはっきりわかった。
まず、『占い館』にて相性診断を行った時(二回目)ホワミーの代理を立てた。それが女Aとしよう。
女Aはアルバイト代わりに代理を引き受けておいて、後で酒の席で彼を誘い、強制わいせつに及んだ。そしてそれを「いい目を見たのだから謝礼を払え」「証拠を恋人に見せる」「親や親せきにもいいつける」と脅された。
潔癖症だったのねえ。
お坊ちゃんだったのだ。初めての恋人だったホワミーに操立てしていたらしく、女Aと接触したことをひどく後悔していたもよう。
そして、彼女を殺して自分も死ぬ、とまで思いつめていたらしい。
結局殺害してから、遺書を(つまりこのダイアリー手帳を)書いた。それから後のことは書いていない。きっとこの手帳をコインロッカーに入れ、鍵と暗号を部屋にしかけた。そして失踪した。
行く先は、山の中か海中に身を投げたかしたんだと思う。
私はこれをどこにも届け出なかった。
なんにも知らないホワミーと、何も知りたくないホワミーと、なにもかも忘れたいホワミーが気の毒だったから。
いい思い出だった、で済ませたいじゃないの。
彼に想われていたってことが、彼女にとって一番大切なのだから……。
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