苦労 死放題
「苦労 死放題君は未だ勉強を頑張ってるんだってね。学者になるんだとかいって、もうずっと勉強ばかりしているそうだよ!!!。」
「死放題君は、道を歩きながら本を読むような子だからなー。変わってるよね。」
「彼も、大物になるよきっと。何だか、そういうのがわかるんだよねー。」
「遅刻ばかりしてるけどね、あの子。」
「何か、抜けた処があるんだよねー。あの子。」
「何か、凄い発見でもして、賞をとりそうなものだけどな。」
そう、苦労 死放題くんは、異常な努力家で、四六時中勉強をする。優等生の中の優等生、其れが苦労 死放題なのだ。
「困った事があればだいたいこの死放題君に聞けば教えてくれるんだよねー。下手な専門家連中より彼の方がずっと立派だよ。」
そんな話をしていた。
物理学者、数学者、生物学者。
いわゆる科学数学の類の研究者を目指している、彼は、ストイックだ。
大学でも、教授を驚かせるような論文を幾つも出したという。
変わっているのは、その異常な遅刻、時間を守らないのである、全く守らない。
マイペースさであった。
「実力は確かなんだが、この遅刻は如何にかならんかね。」
「この論文がいい処だったんだ。此れは仕方がないよ。いい処で、やめたらせっかっく発見出来たかもしれない、事が無くなっちゃうんだから。」
「君が、学者の鑑か!!!。」
「いえいえ。こんな論文糞ですよ。もっと、偉大な事をするんです。こんなの論文の内に入らないんだ。学者は、ずっと学問の事を考えて無きゃならないんだ。飲んだくれのヘボ学者と一緒にすんな。」
「誰の事を言ってるのかな。」
「てめえ等の事だよ。」
この調子で、学者は彼を、煙たがりました。
大した研究成果も残せてない癖に学者になった人間は学者やめろ。
無駄に給料の高い仕事の癖にいい仕事をしているのはごく僅かの、悪の仕事。と、学者を毛嫌いしていた、学者志望の優秀な生徒だった。
生徒にして、そこいらの学者なんかよりずっと優秀だった。
「どうやって、此処迄の知識を手に入れたのかな???。」
「独学です。」
「独学・・・。今時独学なんて、凄いですね。」
「いいや。凄く何てありませんよ、過去に偉業をのこした偉人、や巨匠たちから、その知恵を盗んだ迄の事です。」
山本博士は叱らない。
山本博士は、どんな間違った論文でも、理論でも、最後まで読んで評価する事で有名だ。
彼のいう事には、間違った知識の中にも、その人間の論理が存在するものだ、私はその規則性を読んでいる、支離滅裂にも、訳があって、理由がある、その論理を読み取っているんだ。との事で、その理解力は群を抜いていた。
山本 弥次郎 五十八歳 職業大学教授 摩訶不思議大学教授
苦労 死放題 大学院生 一年 年齢 二十三歳 誕生日 十月十一日 天秤座、血液型はO型。
金色 折紙 二十一歳
金色 式神 二十歳
賢月 菜樹禰 二十 七歳
賢月 洋祐 二十九歳
賢月 弥生 四十九歳
ギャルソン・コマタレブ 三十四歳
車海老 錬三郎 二十二歳 小説家
速水 廉一郎 三十三歳 小説家
飯作 美香子 二十七歳
逆落 鉄 二十九歳
秋川 七瀬 二十九歳
此れが現在の処の登場人物達だ。
耳ヶ峰 霧子は言いました。
「私の子供達が旅立ってしまって寂しいわ。」
寂しい。
寂しいわ。
そう寂しいのだ。
叔母さんはそういっていた。
霧ヶ峰 霧子 独身 五十代女性。
一バツ。
自身のツイッターには、夫に逃げられた、恨みと、苦しみ苦悩が書かれている。
子供が大人に成って旅立った事が、彼女に精神的な苦痛を与えたらしい。
「如何したんだい???。子供の教育費を払わないといけないんじゃないのかい。」
大変だなーと、城ケ峰 峰子はいった。
峰子は、高校時代の友達で、時々会う事のある友人だ。
異常に頭が良くて、国でも名門の部類に分類される大学に進学した、数少ない、私の友達の中でも優秀な部類だ。
霧子は、子供が大学に行く事に成ってからは、夜勤を初めて忙しくなってきたという、私立の四年生大学に娘が行った、私は高校卒業で、大学の事はよく分からなかった。峰子に相談に乗って貰う事が多かった。
「私もいくつかの人脈は在るよ。何かあったら私を頼るといいよ。」
と、彼女は言うのであった、頭が良くて、友達の多い彼女だが、私は決して嫉妬しなかった、其れは、私の唯一無二の友人の峰子は、峰子には、私に肩入れする理由があったのだから、峰子は、可哀そうな人間を放っておけない太刀の人間で、私みたいな低学歴の子持ちで、身寄りのない人間に肩入れするだけの理由があったのだ。
峰子は私を見て不憫だといった。
彼女は不憫なのだ、高校時代から、私の事を知っている峰子。
年賀状が今でも届く峰子。
私が、碌でもない男に捕まって、もうどうしようの無く泣いていた時助けてくれたのもこの峰子だった。
峰子は私の母のような存在で、もう何だって出来た。
こんな不憫な私を峰子はどう思っていたのだろうか。
きっと呆れていたに違いない。
峰子は呆れていたのだ。
私がこんなにどうしようもない人間だから、けれど決して私を見捨てなかった。
峰子、宗教家の私の信者峰子。
峰子は私の宗教の信者で、もう高校生の頃から私を師匠と仰いでいた。
教祖とのたまっていた、彼女峰子は、だから私の娘の面倒を見てくれるのだ。
峰子賢くて、強い私の信者。優秀さだったら、私よりずっと上だ。
霧子にはカリスマがあった、峰子は霧子のそういったカリスマに惚れ込んでいたのだ。
女に惚れる女。
此れがおかしいと思うか???。
否、霧子はバカだったが、彼女は、頭の回転だけは常人の十倍はあった。
勉強嫌いの霧子。
霧子の娘の七夏。
七夏は、霧子が自分の父が、自分の大学の学費を出しているのを知っていた。
七夏は両親が離婚してからも、そのどちらからも進学先から仕送りが届いてくるが、其れがいったいどういった御金かはわかっていた。
決して給料が高くはない仕事をしている両親が働いて稼いだ御金なのだ。
そう考えると、若干の、忍びなさを感じた。
折角大学生に成ったのに、親の御金で何か、こんな事でいいのだろうかと思った。
親が、資金を出してくれている。
私はそう迄して大学生になったのである。
母にはある種のカリスマがあったが、結婚して子供産んでからは、もうお母さんらしくなってきて、仕事も、はじめてその仕事が、勉強をサボってきただけの事はあって、時給の低いアルバイト、所謂パートだったわけだが、遂に正規雇用に迄なって、夜勤でっ働いているのであった。
私への仕送りの為にわざわざ夜勤迄して働く母は可哀そうだったし、厭だった。
父は、相変わらずパチンコに凝っていて、もう嫌だった。
けれど、両親は学費も、仕送りも出してくれた。
霧子は話相手が必要だった、だから霧子は、息子の屍と話した。屍は引きこもりの息子だが、私の息子だった、一人でご飯を食べるのも辛かったし、かといって夫の事も頼れなかった私は、息子を頼ったのだった。
息子は受験に落ちて引きこもって勉強している浪人生だった。
仕事仲間にも、息子の同級生の親だとか、御爺さんだとかお婆さんが、いたり若い子がいたりするが、私は、その誰とも仲良くなった。
が親しくはなれなかった。
孤立するタイプでもないのだが。
やはり家では一人になって終って寂しいのだ。
其れに何だか怖い。
一人は怖いし、寂しい。
だから、息子は、私の話相手に成ってくれた。
其れから、峰子も。
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