ファッションデザイナー

 おねえ染みたフッションデザイナー 前原 久美子は、此れ迄画期的なファッションをデザインし、其の洋服は世界中で売られている。


 ジャケット。テぃーシャツ、カーディガン、モッズコート、ベアトップチュニック、ピーコート、チノパンツ、デーパード、シャツ、ワイシャツ、ニット、トレンチコート、フィッシュテールスカート、エスカルゴスカート、カーゴパンツ、ステンカラコート、ムートンコート、ハイウエスカート、ダウンジャケット。


 様々なジャンルの洋服を、和服を、衣装を手掛けた。


 コレクションで、モデルが、私がデザインし、監督した服を着て歩いている。

素晴らしい。


 この瞬間が、服創りの醍醐味なのだ。本の数分の為に何十日の時を費やす。

流行の先端を歩く事の、素晴らしさ、感動。


 第一線で、活躍し続けるにはセンスを磨き続けなければいけないのだ。


「あの人、外国で有名らしいよ。」


「あ!、すっごいおしゃれえええ。」


 道行く、道で私は注目される。


 此れが、世界も注目する、ファッションデザイナー兼モデルの実力か。


 「出かける時に変装なんかをする事は殆どないわ。自分の思うが儘の服で、デザインした服を自由に着るのが私のスタイルよ。」


 「宣伝にもなるしね。家では基本裸よ。自然でいいじゃない。」


 「裸ですか?。冬は寒く無いのですか?。」


 「勿論寒いわね。そういった日は、動きやすい羽織を着るわ。」


 「え?。じゃあ裸じゃないですよね。」


 「ええ。その通りよ。」


 百八十センチの高身長に、長い脚、異国を思わせるその風貌は、人目を引くのである。

 「麻薬を、やっていたという噂は本当なのですか?。」


 「ええ。真実よ。一時はもう大変になって終って、禁断症状に悩まされたものだわ。」


 久美子はそう言いながら煙草を吹かしていた。


 「セブンスターカスタムライト。」


 「ええ。お気に入りの煙草でね。彼是二十年はすってるわ。」


 「ヘビスモーカーの方ですか?。」


 「そうよ。一日に二十本は吸うわね。」


 「肺がやられちゃいますよ。」


 「其れだけじゃなく、心臓やら、内臓、血管、脳にも、煙草の灰は悪影響なのよ。」


 「分かっていたって辞められるものじゃないわ。」


 彼女はそういっていた。仕事のストレスから、学校や家のストレスから、興味本位から始めたこういった薬物は、なかなかやめられないものだ。


 或る人が言っていた事を思い出す。


 コンプレックスの塊。


 女子何てものはコンプレックスの塊。


 もっとこんな容姿に成りたかっただとか、其れはもう女子はそういった事に

敏感だ。


 あれがブス、あれが美人。


 あれよりは可愛い。


 あれよりは綺麗。


 美意識が高い事はいい事だ。


 女を振りまくのは、惨めで、みすぼらしい事だ。


 私は、可愛い。


 そうだ。


 可愛いのだ。


 誰が何と言おうと私は可愛い、可愛くなければならないのだ。


 男に可愛いと言われた事はあまりない。


 如何してなのか。


 ものはどの位なのか。


 私の容姿は上位だ。


 上位なんだ。


 私は可愛い。


 綺麗な整った、愛くるしい容姿だ。


 決して、ブスではない。


 といっている時点で駄目なのかも知れない。


 本当の美人は自分の事を美人だ何て言わないだろう。


 いいや。待てよ。


 本当にそうか。


 美人は自分が誰よりも美人だと理解しているはずだ。


 自分の強みを理解して、其れを効果的に使っているはずなのだ。


 其れに、男にも困らない。


 寧ろ、キモイ男が寄って来て迷惑しちゃうかも知れない、美人は美男か、賢い男、スペックの高い男と付き合うものだ。もし仮に、恐ろしく綺麗な女が、不細工な冴えない男と付き合っていたら、金が目当てか、弱みを握られているのだろう。


 愛など無いと考える。


 ブスと、美人は釣り合わない。


 ハイスペックと無能は釣り合わない。


 其れに、容姿のいい奴は能力の高い傾向にある。


 生まれつきの愛嬌は、その人間の能力の高さも表すのだ。


 男なんて言うのは、見た目が悪くても、究極清潔にさえしておけば、女は寄ってくる物で或る。

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