2星人 名前をつけてやる

「ええ! そうよ! 私は火星から来た火星人! 識別番号R105号よ! 地球人よ! 私に恋しなさい!」

「………………は?」




 一週間前、俺の前に突然現れた自称火星人。名前はまだない。毎日の様に付き纏ってくるこいつ。何か話すにせよ、名前がないと呼びにくいので仕方なく提案をする。


「おい」

「何かしら? それと私は、『おい』じゃなくて、識別番号R105号よ!」

「そうそう。その件で提案なんだが、名前呼びにくいからつけてやる」

「あら! 嬉しいわ! いい名前をちょうだいね!」

「名づけなんてしたことない高校生の俺に、無茶言うな」

「あ。そういえばまだあなたの名前を聞いてなかったわね!」


 あ。そういえば言ってなかった気がする。聞かれたけど答えてないだけだが……名前を考える前に、俺は言う。


「根暗 優也だ」

「分かったわ! ゆーやね!」

「ん。じゃ、そうだな。んー……火星 かほし もも。なんてのはどうだ?」

「どう言う意味があるのかしら?」

火星かほしは、火星人って言ってるから火星をそのまま使った。桃は、ピンクの髪の毛から取った」

「んー。まあ、いいわ! 今日から私は、識別番号R105号ではなくて、火星 ももよ! 私を呼ぶときは、かわいいももちゃんって呼びなさい!」


 マジかこいつ。可愛いって言い切ったぞ。たしかに美月と同じくらい或いはそれ以上に可愛いが、自分で言うなし……と思ったが、美月のことを考えてしまった俺は、冷たく言う。


「……誰が呼ぶか」

「あら。残念だわ!」

「うっせ」


 俺がそう言うと、心なしか少し悲しそうに見えた。

 この日は、ここで別れお互い家に帰った。




「ゆーや。怒らせちゃったのかな……」


 私は、一人呟く。心当たる節が多すぎて、誰に対して起こったのか分からない。と言うのも、私はゆーやの前だと緊張しすぎて素の私ではいられない。ゆーやの顔をまともにみれた事すらないほどに……


 任務で地球に来ているとはいえ、まさか本当に好きになってしまうなんて思ってもいなかった……

 火星人とて、恋はする。それは多分地球人のそれと同じだろう。


 ゆーやの事を考えるだけで、胸がドキドキしてしまうし、一緒にいるだけで幸せだと思える。これを恋と言わずに何と言おう。


 なんてことを考えつつ、私はまた明日ゆーやに会える楽しみを胸に秘め眠りについた。


「……ろ。おい。起きろ。もも」


 なんかゆーやの声が聞こえる。そんなわけないよね……


「おい! 起きろ! もも!」


 ん? やっぱ莉聴こえる。私は起き上がり、声のする方を向く。そこには、ゆーやが立っていた。私は、夢かと思った。だが、ゆーやが次に言った言葉に私は、目を覚さずにはいられなかった。


「何でこんなところで寝てんだよ。お前一応女だろ。こんな河川敷の橋の下で寝て、なんかあったらどうすんだよ。ったく、…………うち、くるか?」

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自称火星人に恋してもいいですか? 小鳥遊NEØ @takanasi__0512

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