自称火星人に恋してもいいですか?

小鳥遊NEØ

1星人 地球人よ! 私に恋しなさい!

「す、す、好きでした……! 俺と……付き合ってください……!」

「優也くん……、優也くんはだから、私じゃ釣り合わないよ」


 はい。皆様初めまして。高校最後の年。俺、根暗 優也ねくら ゆうやの初恋は無惨に消え去りました……


 いい人だからって何? もっと他にもあるじゃん……なんて思いつつ、学年一のマドンナ鈴本 美月すずもと みつきの帰った後も、俺は立ち尽くしている。


 いいかげん帰らないとな……と思ったのだが、なんだか今日はすぐに帰りたい気分ではない……そんな俺は、近所の河川敷で時間潰しをして帰る事に決めた。


 学校から家までの間にある河川敷。そこには都市伝説がある。失恋した者が行くと、変な少女に声をかけられるとかなんとか。まさに今の俺にピッタリだな。と考えてみたものの、そんな都市伝説なんて誰かが作って面白いから広まっただけ。と否定した。


 やがて河川敷に着いた俺は、座り込み景色を眺め、美月との思い出をふり返る。



「私、大人になったら優也くんと結婚する!!」

「本当〜? じゃあ、美月ちゃんは僕のお嫁さんになるのか〜!」

「うん!」



 俺と美月は、親同士が幼馴染らしく自然と俺達も仲良くなった。美月は成長するに連れ、とても美人になっていった。俺はと言うと、パッとしないアニメとかで言う『モブ』に…………


「はぁ…………」


 俺は、過去を思い出してはため息を零す。そんな時だった。


 が現れたのは…………


「失恋反応を感知したわ! あなたね! ついさっき失恋したばかりの人は!」

「誰だよ……悪いが俺は今、気が立ってるんだ。だからあっち行っててくれ」


 突然現れた身長の小さめな、肩に掛らないほどのピンクの髪の毛の少女は、俺の前に来るなり失恋とか言ってきた。気が立っていた俺は、冷たくあしらう。だが、そんな俺の言葉をまるで聞いていないかの様にヤツは言う。


「行かないわ! あなたなんて名前なの? 地球人は名前? ってのがあるんでしょ?」

「人の話を聞け! って、なんだよその変な言い回しは……それじゃあまるで、お前は地球人じゃないとでも言う様な感じだぞ?」

「ええ! そうよ! 私は火星から来た火星人! 識別番号R105号よ! 地球人よ! 私に恋しなさい!」

「………………は?」


 突然俺の前に現れた少女は、自分で火星人とか言うちょっと頭の弱いヤツだった。って今恋しろと言った? 聞き間違いじゃないよね?


 そして俺は心の中で叫ぶ。


 『もう一体何が起こってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

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