第62話 最後の最後までお前は!
ユウジたちとマドカが合流したのはそこから数分後だった。
お互いにあったことを話す。
「強い、魔物が? それほどの力を持つ魔物がこのダンジョンにいるだなんて聞いたことが……」
「まぁ、運が悪かったってところだ。いや、むやみにつっこんでいったのは俺なんだけど」
「何者なのでしょうか」
ナーガ=ネガ、あの圧力はダンジョンボスの比ではない。
戦う前に無力化されてしまった。
マドカにもナーガ=ネガのこと言おうか悩んだが、キララに止められる。
「マドカ、アイツはここのダンジョンの魔物じゃあない。別のダンジョンにも出るかもしれないから、見かけたら戦おうとはせずに逃げてくれ。特徴はさっき言ったとおりだ」
「人が襲われているのなら場合は違いますが。わかりました。戦闘は避けましょう」
「うし、じゃあちょっとごめん。この3人運ぶの手伝ってくれないか? まだ気絶しててさ」
「はい、喜んで。……この方たち、お怪我は?」
「ないとは思う。気絶しただけだしな」
「その、ユウジ、ありがとう。アタシすごく怖くなって」
「気にするな。キララが無事でよかったよ。いや、俺のほうこそ、その、ホラ、急に、な」
「ん? えへへ、別に。緊急事態だったから仕方ないよ。それにユウジはアタシのこと本気で心配してくれたから」
(なにがありましたの? ねえ?)
マドカからの視線を感じつつも、ダンジョンを出ることに成功する。
涼風が日常の空気を運んでくれて、心が安らいでいくのを感じた。
3人組が目覚めたのはそれからまた数分のことだ。
D・アイが壊れたことにショックを受けつつも、助けてくれたことや怖い思いをしたことを飲み込み、彼女らは何度も頭を下げて去っていった。
「さて、俺たちも帰るか」
「うん、帰ろユウジ!」
「ぁ、はい、そうですわね。わたしは向こうへ行きますので。ユウジさんもキララさんもどうかお気をつけて」
「おう、マドカも気ぃつけてな! 今度はキチッとコラボしようぜ!」
「! ……はいっ」
こうして波乱の一日は幕を閉じた。
空はすっかり闇色で、時間的には腹が減るタイミング。
「ねえユウジ。ごはん食べに行かない?」
「飯かぁ。……牛丼食いたい」
「そのチョイスなに? まぁいいけど」
「あ、いいのか?」
「うん、いいよ。牛丼おいしいじゃん」
「うし、じゃあ行くか」
今は戻ってこれた平穏な時間を享受する。
今回のことはまた集まったときにでも言えばいい。
ナーガ=ネガの影はきっとこれからもついて回るだろうから。
「うんめえええですわぁあああああああ!!」
「キララ、やっぱりレストランでいいか?」
「うん」
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