382日目 レンズマンのポイズンクッキング ピーマンの肉詰め
こんばんは、レンズマンです。
先日の夜、自炊をしました。
ウチの両親は一週間ほどかけて北海道に旅行に行く計画を立てていましたが、祖母の葬式で予定が大幅に狂ってしまいました。今更フェリーの予約をし直すのは難しく、北海道旅行は延期することになりましたが、それでも休暇を返上する気はないらしく、近場に一泊二日の旅行に行きました。
父はともかく、母が居ないのは一大事です。掃除洗濯はまだしも、食事は三食取らないといけませんからね。中でも、美味しい夕食は一日のお楽しみであり、生きる意味に直結します。一日の最後にご褒美がないなんて考えられない。しかし、軽率に外食ができるほど裕福でもありません。こうなれば手段は一つ。自分で美味しいものを作るしかありません!
こんな時だけは頼りになるのが武士道です。奴は基本的にロクデナシのスットコドッコイですが、料理に関してだけは頼りになる男です。朝一におすすめの夕食を質問してみると、ピーマンの肉詰めを教えてくれました。おお、旬の野菜と肉が同時に取れる! その後、彼の仕事の休憩中に通話し、簡単に作り方を教えてもらいました。武士道、やればできるじゃん。一生台所に居て欲しい。他のことはしなくていいから。台所で幻想水滸伝やってて、困ったら助ける感じでお願いします。
ひき肉を練ったものをピーマンに詰めて油で焼くだけ。後は味噌汁でも作ろうか。事前に冷蔵庫や棚を漁って食材を確認し、スーパーへ買い物へ行きます。ピーマン6個で300円。結構高いなぁ。このスーパーも寿命かもしれません。他の相場は知りませんが。実はこのスーパー、僕の学生時代のアルバイト先です。ちっとも時給を上げない癖に多くシフトに入れと言う。これだけでもムカつきますが、後に入社してきた妹や他の知り合いも近隣の最低時給よりも安く働かされていた時期があり、尚のこと許せません。まあ、近所だから使ってやりますが。長くはないかもしれませんね。ケッ!
失礼。過去の憎しみに飲まれてしまいました。そんなことより夕食です。まず、元々作る予定だった茹で卵を調理します。これはパックの中でつゆに漬けて味玉にして、後日食べられるようにします。
それから、卵を茹でた鍋にピーマンを入れて、氷水で冷やす。こうすると、ピーマンがシャキシャキになって美味しくなるらしい。武士道先生の入れ知恵です。ただ、それを忘れてピーマンをすでに半分に切ってしまったので、6つが別れて12個になったピーマンが所狭しと浮くことになりました。シュール。
ピーマンが冷えるのを待っているあいだ、暇つぶしにぶるぶるダイエットマシーンに乗りました。スイッチを入れてから、ご飯を炊いていないことに気が付きます。しまった! あ~っ、もう降りれない~。10分のロス。ご飯をといでスイッチを入れると、50分後に炊けるという。……また暇になったので、他ごとをして時間を潰しました。要領が悪すぎる。
時間になったころ戻ってきて本格的に料理を再開。ひき肉を揉みます。こねると言うのでしょうか。なんだか不安になってきたので、動画で作り方を確認すると、なんと玉ねぎを入れると言い始めました。玉ねぎ入れるの!? 武士道先生には何にも言われてない!? 運よく野菜室に残っていた玉ねぎを4分の1ほど使い、細かく切ってボウルに入れました。ところが、動画の先生は更に「薄力粉」なる怪しい粉をかけ始めた。何それ!? 小麦粉じゃないの!? しばらく部屋中探しましたが、小麦粉しか見つからず断念。後に聞いた話だと、薄力粉とは小麦粉の一種らしいです。し、知らんかった。肉をピーマンにくっつけるのに必要とのこと。でも、隙間なく敷き詰めれば離れようがないのでは? このまま行きました。
余談ですが、玉ねぎを切った時急にくしゃみが出ました。飛沫が目に染みて涙が出るとよく聞きますが、くしゃみを誘う作用もあるんでしょうか。まるで花粉症です。
話を料理に戻します。ひき肉と玉ねぎを混ぜたタネをピーマンに詰めていきます。約200グラムのひき肉と4分の一の玉ねぎを使用し、ピーマンに入れても少しは余るかと思っていましたが、むしろギリギリ足りるくらいでした。目算でしたがうまく行ったようです。何も考えていなかったともいう。とにかく、肉ピーマンの原型ができました。ピーマンの肉詰めと打つのが面倒なのでしばらくこう呼びます。
ちなみに、ピーマンを冷やしていた鍋は味噌汁を茹でています。卵を茹でて冷やして、ピーマンも冷やして、今度は味噌汁を茹でる。我ながら鍋使いが荒いですね。具は油揚げだけ。あとで乾燥わかめとねぎを入れました。
茹でている味噌汁の隣で、肉ピーマンを焼き始めます。忘れずごま油をしいて順次投入。10並んだところでフライパンが埋まってしまいました。無理やり押し込もうかとも思いましたが、料理は横着するとなんかよく無い結果に転がる気がしたのでやめます。俺は理性の男。料理は科学。イレギュラーは計画を狂わせる。無理は禁物、冷静でいることが事故を防ぐ秘訣……
ぱちん!
ギャアッ! 何!? ピーマンの下で何かが弾けて襲いかかってきます。水だ! ピーマンに含まれる豊富な水分が油と反応したのか!? 違う、さっきの氷水が外側に残っていて、油とくっついたんだ! アチィ! 慌てて蓋をします。こ、こわい! 理性と冷静さはどっか行き、怯えながら焼き加減を調べます。蓋を盾に長い菜箸を槍のようにあつかう。焼けてるの? 時間を計ってないからわからない。 雰囲気でひっくり返して、また蓋をします。その間も肉ピーマンと水滴は凄まじい音を立てて熱されていきます。なんか意図せず蒸し焼きみたいな形になってしまった。料理は計画じゃない。アドリブですね!!!
すったもんだの末ついに完成。食卓に並んだのは、ゆで卵、味噌汁、冷奴、ピーマンの肉詰め、炊き立てのご飯。冷奴に醤油を垂らすと、なんだか茶色い食卓になってしまいました。ピーマンは焼き色がついたせいだし、肉の中には玉ねぎも入っています。見た目ほど栄養バランスは悪く無いでしょう。それでは肉ピーマンを一口! ……なんか柔らかかったので、一旦電子レンジでチンしました。一応ね? 豚牛の合い挽きだから。気を取り直して二口目、ジューシィな肉汁が溢れてきて、とっても美味しかったです。やればできるじゃん! 謎の粉こと薄力粉を使わなかったせいか、肉がピーマンから剥がれてしまったりもしましたが、味にさほど影響はありませんでした。ここに薄力粉を入れておけば見栄えまで良くなってしまうんでしょうね。自分に伸び代を感じます。
タレはポン酢とごま油を合わせたものを使いました。武士道から6:4がいいと言われたので指示に従います。いつもなら適当に混ぜるところですが、計量カップで容量を測ったので完ぺきな比率です。惜しいのは、比率にこだわりすぎて量が多すぎたことでしょうか。計量カップが思ったよりも大きくて、混ぜるまで完成時の量を予想できなかったんですよね。60gと40g、合わせて100gのタレ。絶対そんなに要らなかった。今でも半分以上余っています。
ゆで卵を茹で始めてから食事を始めるまで約二時間かかってしまいました。おかげでTRPGに遅刻する始末。次はもうちょっと要領良くやりたいです。でも、自分で美味しいと思えるものを作れると嬉しいですね。次の日、帰ってきた両親にも振る舞ったところ、美味しいと言ってもらえました。イェイ! またやろう。
では、今日はこの辺で。おやすみなさい。
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