初歩的なことらしいですよ、友よ
「見たまえ、右のレンズに指紋がべっとりと付いているし、留め具も外れている。こいつはいつも朝起きるときに眼鏡をかける習慣があるが、ものぐさ故PCデスク前にある回転いすの上に乱雑に放置していた。さて、今日も目覚ましアラームに叩き起こされたこいつは、慌ててスマート・フォンを探す際に赤い充電コードに腕をひっかけて体勢を崩し、間違えて腕に掴んだ眼鏡を放り投げてしまった。よって、眼鏡拭きなどというタイトルのエッセイを書いていながら、眼鏡一つ大切に扱わないものぐさ太郎だということがわかる」
名探偵の推理の前に完璧に打ちのめされたレンズマンは舌を巻いて、その顔はライムの様に真っ青な顔になってしまった。
……む、難しい! 俺に推理物は無理だ。
あ、こんばんは。レンズマンです。
電子書籍でシャーロック・ホームズの短編集を読み進めているんですが、本当に面白くて! またまたはまってしまいました。
この小説、探偵ものであり
まず、思ったより殺人事件に巡り合わないんです。失くした物を探してくれとか、不思議な手紙の正体を知りたいとか、不可解な隣人の行動を解明してくれとか。遭遇する事件にバリエーションがあって、読んでいて飽きないんですよね。こう、殺人事件を扱うモノってグロデスクな描写が多くて、あんまり耐性が無い身としてはそういう描写はなるべく避けたいところなので、これはとても助かります。また、文章形態もワトスンの記録と言う形をとっているせいか、テンポよく進むので陰鬱な場面にも気持ちを引きずられなくて済むのも救いです。これはホームズの機械的と評される性格も関係しているかもしれませんが。
それと、バディものにありがちな奇人と常識人のペアでありながら、二人が助け合うというよりも、ホームズが超人的な行動力で事態を解決し、ワトスンはその後を付いていくという展開が多くみられるのも新鮮でした。でも、ワトスンが不必要なのかと言われると決してそうではなく、この伝記的な小説の構想には頼もしい助手の存在が必要不可欠だし、そうでなくてもあの奇人であるホームズに真の理解者がいてくれることは彼にとってとても救いなんだろうな、と思うと、関係性、エモ! と叫びたくなる所存です。あ、実際にワトスンの発想や医学に精通した知識や特技が事件の進展に一役買うこともあるので、役立たず、と言いたいわけではないんです。あしからず。
上記二つの点は僕が先入観で感じていたイメージです。ですが、それらはいい意味で裏切られ、独特な世界観に浸らせてくれています。世界史には疎く、当時のロンドンの生活様式なんてさっぱりな僕でも、辻馬車に乗って歓談しながら外れの田舎町に向かうホームズとワトスンの会話がありありと想像できる、豊かな表現力にも度肝を抜かれています。くあ、なんて語彙がすごいんだろう。例え表現とかとても苦手で。やっぱり読書は勉強になるんだなぁ、なんて思います。
というわけで、シャーロック・ホームズの好きな点、すごい点を語らせてもらっちゃいました。なんかこう、好きなモノについて語るときは口調がしっかりしますね。無意識下に敬意を払ってるんでしょうか。現金な奴め。
余談ですが、この記事を書くためにかかった時間は約一時間です。通話を繋ぎっぱなしにしていた所、めっちゃ話しかけられてぜぇんぜん集中できませんでした。いや、おしゃべりも楽しいんですけどね。ただ、時間をかけるとさくっと書いて気楽に読んでもらおうという趣旨と外れてしまうのが辛い所。
てなもんで、もう眠ります。明日も読みかけの続きを読めると思うと、無職の毎日が少し楽しくなりますね。ではおやすみ。
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