第6話
「報告します。男女五名全員軽傷、かなりの量の
「助かる。状況がつかめなかったので、こちらでも星川に増援を要請するように指示をだしてしまったが……まぁ問題ないだろう」
「確かにあれだけ強力な
コイツの目にもあれは、悪鬼に見えたのか……
「あなたは悪鬼と言ったがもしかしたら、
「それはどういう事でしょうか?」
「善なる牛鬼もいるという事だ……」
……やれやれ陰陽術を使い鬼を祓う術を身に着けてはいても、鬼の事をしろうとする者は少ないんだな。と少し呆れてしまう。
「もしあの牛鬼が善なる神霊であった場合。あの学生たちが何かをやった可能性が高いんだ。持ち帰ったものや、壊したり触ったモノに付いて聞いて聞き込みをしたい」
「……元Sランク陰陽師である貴方が言う事です。大人しく従いましょう……」
渋々と言った様子ではあるが俺の判断に従ってくれるようだ。
先ずはあの一番元気だった女の子に話を聞こう……
俺は情報の偵察と連絡を兼ねて式を放つ。
「
なけなしの呪力を叩いた6羽のフクロウに指示をだす。
「あ、お兄さんこっちこっち」
――――と一人だけ元気に手をブンンブンと振っている。
美しい
瞳は大きくくりくりとしており、
スラリとしつつも女性特有の柔らかさを感じさせる肢体と整った容姿は、まるでグラビアアイドルのようだ。
「少しだけ話を聞かせてもらってもいいかな?」
面倒だとは思いつつも一応仕事だから、と自分に言い聞かせて出来るだけの笑顔を浮かべて話しかける。
「え、まーいいですけど……お兄さんもしかしてナンパですか? それにしては笑顔がないみたいですけど……」
どうやら俺の全力の笑顔は、パリピ共には笑顔とすら認識されていないようだ。
これなら取り繕う部分は最小限でいいだろう……
「ちげーよ。仕事だ仕事。なんであの鬼が君たちを襲ったのかなって思ってさ……何か心あたりはないかなって思ってさ……俺は
「私は、
「そういうのはあるかもな……」
怪我はないな……長袖長ズボンのだから枝葉で切らなかったのだろう。
それなりの量の瘴気を吸い込んでいっるハズなのに、熱や気分の悪さを訴えたり感じている様子はない。
生まれ持った霊力が多いのだろうか? もし生まれ持った霊力が高く本人にやる気があるのなら、多少年を取っては居るものの陰陽師になるという進路も十分ありだと思う。
「……で、どんな話が聞きたいんですか?」
「あの鬼に追われる前だったり追われている時に、何かモノを拾ったり持って来たり壊したりとかしたのかなって思ってさ……」
「そうですね……あの鬼が出てきたのは錆れた神社の小さいのの前に行った時ですね……」
神社の小さいのと言うのは恐らくは、
その神社に関連する神や全く関係ない神を祭る社だろう。
――――と言う事は、
「その時に何かを持ち帰ったりとかしなかったか?」
「私は一番後ろに居たので詳しくは見てないんですけど……他の子が何かをしていたかもしれません。他の皆は何かを騒いでいたので彼らが何かをしたのかも……」
「そうか……ありがとう」
俺は彼女に背を向けて歩きながら思案する。
大方、
そして守護者のような立場であった。あの鬼が出張って来たという感じだろうか……と
だが俺は足を止めて彼女に問いかける。
「細かい事が気になるのが俺の悪い癖なんだ。一つだけ聞いてもいいかな?」
「何かな? 私が答えられる範囲の事なら何でも答えるけど……」
「なんで
「それは、
「そっかそうだよね。じゃぁ君を除いた四人の名前を教えてくれるかな?」
「どうして私に聞くんですか? 私を疑ってるっていうの!?」
「君には少し違和感があってね。簡単に言えば漏れている霊力が高すぎるんだ……東京の都心を歩いていれば間違いなく目の良い陰陽師にスカウトされるぐらいには……」
「――――っ!?」
ここからは運転手さんでも対応できるように大声で話す。
「霊力や姿かたちや気配を偽る
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TIPS 『
日本では『狐付き』海外では『悪魔付き』などと呼ばれ、妖怪や鬼などの精神体が憑依しているものを総括していう。
また『生成り』のなかでも『堕ちる』と言われる。妖怪側の性質に引っ張られる状態になると最悪の場合、肉体を持った(受肉)した鬼が産まれる。
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