【中編】鬼才の若き陰陽師は引退しました。両親を食った最強の鬼神を封印されて陰陽術が使えないので後進を育成しながら高校に通う。 俺は寿命を削る禁術や妖刀を使って鬼に復讐する例え鬼に堕ちてでも
🔥SOU🔥9月01日より新作投稿開始
第1話
ちょっと前満開だったソメイヨシノは
生徒35名により寿司詰め状態の上窓側の俺は、熱さすら感じる陽光を側面から浴び、人の熱気も相まって夢の世界へと意識を飛ばしかけていた。
特に今受けている授業内容は、俺にとって耳にたこができるほど、それこそ生を受けてから教えられてきた話だから……
「現在の陰陽術は、明治維新後に『
因みにこの教室に居る
では
「……はい。『近代式
宗教色や俗人的な技術に囚われず誰にでも同じ効果が得られるように作られた革新的な技術であり、今日の妖怪退治でも『近代式
幼いころから学校で言われ続けるこのネタにも、それを繰り返し説明を
うっとおしさを感じながら半ばルーティンワークとなった説明をしていると、タイミング良く終わりを告げる
「おっと授業はここまでだ。本当なら
「「「ありがとうございました」」」
挨拶も早々に俺は、教室を後にする。
「俺はもうまともに術が使えないっていうのに……」
つぶやいた俺の言葉は、ガラガラと鳴く教室の引き戸によってかき消された。
………
……
…
「いらっしゃいませー」
自動ドアの開閉音を聞いて反射的に挨拶をする。
マニュアルでは作業を止めて、ドアの方を見て挨拶をしましょう。と書いてあった事を思い出して顔を上げる。
「げ、」
商品棚を見る訳でもなくレジに居る俺に、向かってその客は真っすぐ歩いてきた。
「バニラソフトクリーム一つ」
そう言ってソフトクリームを注文したのは、亜麻色の髪の見た目は麗しい少女だった。
大きなクリクリとした茶色の瞳は決意に満ち、仁科の一挙手一投足に注目しているように見える。
「かしこまりました。270円になります」
「……300円お預かりしましたので30円のお返しとレシートになります。今からお作りしますので少々お待ちください」
そういうと水道で手を洗いソフトクリームを作る機械の前に立つ。
低音で唸る機械からひりだされたクリームをコーンの上に巻きつけながら乗せ、綺麗な巻きを作りソフトクリームの形を作っていく……
正直言って何のためにあるのか分からないソフトクリームを置いておくスタンドに載せてレジの上に優しく置いた。
「こちらお品物でございます」
商品であるソフトクリームを受け取ると、少女は小さな声でこう言った。
「先輩、先輩、お話があるんですけど……」
「見ての通り今はバイト中でな……」
「終わるまで待ってるから、ここに連絡してください……」
そう言いながら手渡された可愛らしいメモ用紙には、090ーとスマートフォンの電話番号が記されていた。
「分かった。まだ夏本番って訳じゃないけど暑いから、近所のファミレスで待ってくれ……」
「分かりました」
以外にも少女は素直に返事を返すとソフトクリームをぺろぺろと舐めながら退店していった。
「どうしたの
そう言って声を掛けてきたのは、店長の権田さん。
元々妻子がいたが自分を偽る事に限界を感じ、カミングアウトしたら離婚を言い渡された経歴を持つ、角刈りのナイスミドルだ。
「そんなんじゃないですよ……」
「そうよね。
「ただの腐れ縁ですよ……」
「
店長は言って納得すると、揚げ物エリアとレジエリアの間にあるシフト表を見つめてるとこう言った。
「いいわ、今日はもう上がりなさい」
「いいんですか?」
「茶髪のあの子、思い詰めているみたいだし……シフトはアタシが埋められるけどあの子を救えるのは、
「すいません。店長」
「こういう時はプラスの言葉を言いなさい。ありがとう、助かります、謝られるよりずっと気持ちがいいわ」
エプロンをロッカーに仕舞うと、荷物を持って後輩のスマホに電話を掛けた。
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TIPS 名古屋の
海外では、『名古屋の悲劇』《Tragedy in Nagoya》と言う。
三年前に起きた霊的な大災害の固有名称。
当時A級陰陽師である
名古屋、岐阜が半壊し現在は復興中。
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『あとがき』
読んでいただきありがとうございます。
本日から中編七作を連載開始しております。
その中から一番評価された作品を連載しようと思っているのでよろしくお願いします。
【中編リンク】https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/collections/16818093076070917291
【次回連載予定作品】のリンク
https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/news/16818093077299783210
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