第7話

4月18日


 夏が終わって秋が始まって、冬が終わったと思えば春が来る。

 巡り巡る季節の中で、俺はただただ流されるままに日々を過ごして、大学への進学が決まった。

 俺の未来は、彼女と一緒に生きると決めた時には既に決まっていた。


『研究医』


 医学部への入学のために勉強に勉強を重ねた俺は、有名大学の医学部に楽々に入学できる学力にまで登っていた。

 だからこそ、医学部に無事入学した俺は勉学に日々を費やす。彼女と揃いのペンダントは未だに俺の首に健在だ。

 彼女の患っていた病を治す手段を得るために、俺と同じような思いをする人を一人でも減らすために、そんな高尚な心意気はないけれど、俺はずっとずっと彼女のためだけに彼女が死んで尚勉強し続ける。彼女を愛し続ける。


 パカっとペンダントを開けば、中には2枚の写真が入っている。

 1枚は向日葵畑で撮った最後の写真。

 もう1枚は、俺と彼女が付き合うことになった日の写真。

 どちらも俺にとって宝物で、蓋を閉じたペンダントをぎゅっと握り締める。


「晴〜!さっさと行くぞ!!俺がじじいに叱られる」

「今行く!」


 一緒に医学部に入った渚とともに、国家試験に合格するために俺はこれから講義を受けに行く。


 桜舞い散る美しい春。

 出会いと別れを運んでくる春。


 俺が大嫌いな春は、逆に彼女が大好きな季節で、どうにもそれが憎たらしい俺は、空から舞い落ちてきた花びらを五枚握りしめると渚とともに大学の中を闊歩するのだった。

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恋は花火とともに 水鳥楓椛 @mizutori-huka

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