新ヒロインの登場について

ヒロインが増える展開では、人物の関係の再編が要求される。そのため、今まで水面下にあった物があらわれ、物語が活性化する。

しかし、物語のはじめからヒロインが増加しない作品も少なくない。それらの作品群はそうでないものに比べて、人間関係がより良く整理、もしくはより良く混乱しているように感じる。

ヒロインの増加はそれ自体が面白い反面、たよりきりになりやすい危険がある。使用すればするほど、物語的な、内容に富んだ人間関係の維持は困難になる。

一度体系がほころぶと、この体系はヒロインの増加でしか活性化しない。こうなると物語は、一人のヒロインが登場し、その人について語りきると、次のヒロインが登場するといった、単調で味のしないものになる。

もはやハーレムは有機体ではなく無機物である。この停止した、破綻した組織は、物語としての体裁を取り繕うために、人物に非現実非心理のラブコメ人格をうえつけるのである。


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