第3話

 麗奈もこの後は暇だということで、3人で街をふらつくことにした。


「下校時間だし、生徒多いわよ?」

「別に気にしないよ。」


 高校に入ってからは、麗奈と燈摩としか関わっていなかった。2人以外に友達はおろか、知り合いと呼べる人もそういない。

 ·······が、麗奈は別の話。


「あ、麗奈さーん!」


 ギャル3人組のうちの1人が、麗奈に話しかけてきた。


みやびさん、どうしたの?」


 雅と呼ばれるそのギャルは、『元気溌剌』の言葉を体現したような人だった。


「えっ、その人たち誰ー!?かっこいいし可愛いしヤバい!てか聞いてよーさっきさあー······、」


 とにかく口数が多い。感情の起伏も激しいように見える。常にはしゃいでいて、見ていて飽きないタイプの人だった。


「わかった、わかったから一旦待って」


 麗奈は無制限に話続ける彼女に一度「待て」の命令を下す。

 口数が少なくなく、クールで感情の読み取りづらい麗奈とは、まるで正反対だ。


「廻、王子さん、こちら雅愛美まなみさん。一応あなたたちのクラスメイトよ。」

「あ、いっつもいない席の人かー!」


 燈摩が軽く「ども」と挨拶をする。


「こんにちは。深月廻とこちら王子燈摩です。すごいね、雅さん。元気一杯って感じがする。」

「あ、わかる!?私この元気だけが取り柄ってくらいだからさっ!テンション上げてかないと······、」


 こういう人の相手は得意だ。思考も読みやすい。


「じゃあ、僕らは行くよ。またね。」

「うんっ、たまには学校来てよー!」


 そうして待たせていた友達とともに去って行った。


 ······まずい、頭が、ぐちゃぐちゃになってきた······。

 足元がおぼつかず、とっさに燈摩に寄りか

かる。


「大丈夫か?」

「······うん。」


 あの時期から、いつもこれだ。他人とあまり長く話したりすると、頭の中がどす黒いもので一杯になる。


「ごめん、私がいたせいで」

「やめてよ、麗奈。麗奈も雅さんも、悪くないから。」


 しばらくすると、段々と思考が明快になり、回復してきた。


「いやー、ごめんね。最近はいっつもこれでさー。」

「本当に大丈夫?」

「元気ぴんぴんだよ!」


 麗奈はただただ心配そうだった。


「さて、切り替えてアイスでも食べに行こうよ!」

「······わかった、一緒に行かせてもらう。」

「チョコミントかな。」


 チョコミント、歯みがき粉みたいなあれか。口内がスースーして苦手だ。

 そんな感想を燈摩は「子供だねえ」と馬鹿にしてくる。


「僕はチョコチップかなー」

「私は······、ストロベリー・バニラかな」


 ストロベリー・バニラ······!


「えっ、僕それ食べてみたい」

「2個も食べたらお腹壊すわよ?」


 そんなやり取りを見て燈摩は笑っている。


「どしたの燈摩?」

「いや、まるで姉弟みたいだなって。」


 懐かしい、昔はよくそう言われた。


「まあ、そんなようなものだよ。」


────────────────────


\解説╱

廻、燈摩、麗奈 ~基本設定~


◎廻

姓名:深月廻(旧姓めぐり)

誕生日:8月2日

血液型:AB型

愛されるより:愛されたい


◎燈摩

姓名:王子燈真

誕生日:8月1日

血液型:AB型

愛されるより:愛したい


◎麗奈

姓名:狛士麗奈

誕生日:11月19日

血液型:A型

愛されるより:愛したい

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