焦りと前進

風邪も治って学校に行ける様になった。ついでに夏帆の機嫌も戻った。


学校へ行くと教室がざわついていた。


「神田、夏帆に告白するらしいけどうなるんだろう?」


(ウソだろ..?アイツ告白すんの?)


他の男子はokされないでくれと願っているから彼らも夏帆の事が好きなんだろう。


夏帆が他の男に取られたらマジで死にたくなるから早く自分を変えて告白しないと。


(まあ、神田は夏帆が嫌ってるしokされる心配はないけど)


俺はそう思ったが夏帆が無理やり付き合わせたりさせられないか心配になった。


だから俺は、神田の後をつけて告白をしている所を見た。


だが、夏帆は神田が俺をバカにしたのを根に持ってたらしい。


聞いてて可哀想になる程の言われようで、神田は意気消沈して戻って行った。


かと言って油断してはいけない。他にも夏帆を狙っている人がいるんだから。


帰宅後


「よし!まずは髪切るか!」近所に床屋があるからいつでも行けるので便利だった。


そして、顔を大きく隠していた前髪を切った。


「体は元々筋トレをしてたからそこまで変える必要はないだろう」


(後は学校に行く時にちゃんと髪を整えて、背筋を伸ばせば前よりは良くなるか)


今まで少しだけ身なりに気をつけていてよかったと感じた瞬間だった。


とりあえずこの格好で学校へ行こう。



次の日の学校


(コイツ誰?)


クラスの人からそんな目で見られた。


夏帆はびっくりするくらい顔を赤くしていた。


「お、おはよう。司くん」


「ああ、おはよう」


少し微笑んで言ってみた。夏帆の顔が一気に赤くなった。


(とりあえず好感触か)


人間関係はこのクラスで築くのは無理ゲーだから広大繋がりで広げた。


こういう時に広大は手伝ってくれるからありがたい。


と、こんな感じで1ヶ月近く過ごしていた。


すると明らかに男からの嫉妬の視線が増えたし、声をかけられることも増えた。


(良い頃合いだろう。そろそろ告白を実行に移すか)


夏帆をラインで呼び出そうとした。


ここからが問題だ。


(なんて文面で送れば良いんだ?)


多分50回位打ち直した。


「今日の放課後って時間ある?もし時間あるなら少し教室に残ってもらいたい。」


返信は


「うん!!分かった!なんで?」


(それを聞くなぁぁ)


「言いたい事があるから」


(隠しても無意味だろう。単刀直入に言うのが1番だ)


次の日の登校、最初の頃に戻ったかの様に会話ができなかった。


告白するつもりなんだから当然だ。


(まあ、主に俺が異常なんだけど)


少し..いや、結構変な目で見られた。少し不安になった。



放課後



遂にこの時が来た。


今まで色々な準備をしてきたのだから絶対にokしてもらいたい。


初恋は叶わないと言うがこればかりは絶対に叶って欲しい。


(緊張して噛むなよ俺)


そんな事を考えて教室で待っていた。


すると、夏帆がやってきた。


やたら夏帆の顔が赤いのは何故だろう?気にしない事にした。


「夏帆ってさ、好きな人いるの?」


「うん!!いるよ!」


(え……?オワッタかもしれん)


「そうなんだ。それを承知の上で言わせてほしい」


「………」


「俺と付き合って下さい」

































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