想いの吐露

「おはよう!夏帆」


「おはよう!司くん!」


というのは妄想です。すいません。調子に乗りすぎました。


さてと。現実を見ようか。


明日は夏帆に話しかけてみるか!とは思ったことはいいのだ。いいのだ.. ただ


「話すタイミングねーし!」


という問題が発生してしまった。


今まで俺はクラスに1人はいるであろう陰キャとしてやって来たのである。


周りは他人に興味がない人か根暗な人と思われているのだ。


もし俺が今夏帆に、さっき妄想してた様に話しかけたらどうなるだろうか。


確実にこうなる。


「おはよう!夏帆。昨日はごめんな。」


「あ…おはようございます。いいえ、大丈夫ですよ」


周り

「なんだ?陰キャが話しかけにいったぞ?」


「アイツ夏帆ちゃんの事狙ってるんじゃね?」


「アイツがww?無理無理ww」


「何話しかけとんのや。しかも昨日ってなんや?」


「あとで聞いてみようぜ」


ひいぃ!なんて現実は厳しいのだ。下手したら


「今泉 司は姫島夏帆を狙っている」


なんて、根も葉もない噂広げられるかもしれないのだ。


俺は今、陰キャで過ごして来た事を人生で1番後悔している。


「穏やかなスクールライフは最高だぜ!」


と思っていた頃の自分を殴りたくなった。


その時であった、


「つ、司くんおはよう」


「おお おはよう」


反射的に答えてしまい、挨拶して来た人の顔を見た。


つぶらな茶色い目がこちらを見つめていた。


「……………」

「……………」


俺たちの間を沈黙が流れた。


なんなら、一部のクラスメートも固まっていた。


そりゃそうだ。男子とも女子とも交流を深めない、挨拶を返すことはあっても、絶対に自分


から挨拶してこないあの、姫島夏帆さんが挨拶したのだ。


夏帆さんがなんらかの想いを俺に持っていると思われた。


男子から憎悪に近い視線が向けられる。


女子からも「マジか…」と言いたげな視線を向けられる。


うん。つらい。前にも言ったが陰キャは気まずいのが一番の苦手だ。


という事で、トイレに行くフリをして屋上へと行った。


何故屋上に行ったかって?トイレに行くと、何人かは着いて来そうだったからだ。


あと、普通に詰め寄って来そうな人もいた。


理由は以上!それだけ!


屋上に着いた。


「流石にここまでは来ないだr」


「ガチャ」


「え?嘘やん」


「私です。夏帆です。」


なんだ、夏帆か。心臓に悪い。


この時一瞬だけ、「着いて来たならもっと騒ぎ大きくならないか?」


と思ったがとりあえず忘れよう。


やっと、夏帆と向き合って話をする事ができるのか。まず、あの時のことを謝ろうk


「どうして逃げたんですか?」


いきなり俺の思考に割り込んできたな。まあいいか。話のきっかけができたし。


「ああ、気まずくなったから」


「あと、昨日も。どうして私から逃げるんですか?」


「その事について今から話そうと思っている。


まず、夏帆。君の人生を壊してしまってすまない。


俺が病気になったせいで、君はあの時辛い思いをしたはずだ。


口汚く罵ってもらってもいい。俺はそれだけのことを君にした。」


「そんな事ないよ。私は今こうやって普通に生活出来てる。


それに、司くんにはあの時まで沢山助けてもらったから。それと合わせたらおあいこだよ」


「でも!」


「はい。でも!はナシ。司くんが私に謝っているけどその私が許してるんだから。


 あの時の事は忘れて… とは言えないけど。これからは、あの時みたいに少しずつなってい


こう?」


「それに、両親は離婚してないからね?単にパパが仕事で海外行ってるだけだから」


マジか。完全に誤解してた。ていうか俺が離婚したっていう誤解してたの知ってたんだ。


「あと、お爺さんもだよ?確かにネットで叩かれたけど、ただ足を悪くして外に出なくなっ


ただけだよ?」


それも分かってんのかよ。


「なんで、そんなに俺の事知ってんだ〜って思うでしょ?あんだけ、小さい頃仲良くしてい


ればだいたい何考えてるのか分かるのよ?」


「そう..か」


完全に俺の誤解だったというわけか。


何故か少し脱力感があった。心の何処かに許して欲しいという気持ちがあったのだろう。


あの時と同じ様にになろう..か。


夏帆があの時の俺の勘違いを訂正してくれた。そして今、元通りになろうと提案してくれて


いる。なら俺は、彼女に余所余所しい態度を取って傷つけるなら前の事は無かったことにし


して、仲良くした方がいいんじゃないか?


ただ、前みたいになるのは難しいだろうな。だって時間が空きすぎているんだもの。


だから、俺はこう言った


「俺も夏帆とは前みたいに仲良くしたい。けど前みたいになるのは難しいかもしれない。」


「そっか……」


「だから、今から新しく人間関係を築いていこうと思っている。」


「へ?」


「そういう訳だ。これからはよろしくな夏帆」


「え!あ、うん…… !これからはよろしくね!」






あとがき


昨日投稿出来なくてすいません。定期考察があったもので。


内容に入りましょう。


やっと、夏帆と司の溝が埋まりましたね。


そろそろ、本格的にラブコメへと移っていきます!













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