過去の思い出 後編
「一ノ瀬 夏帆ちゃんは転校しました」
なんで?僕は病気が治ったのに。
真っ先にそう思った。
でも中学生になって、どうして転校してしまったのか、分かってしまったのだ。
僕の主治医をしていた一ノ瀬先生は、夏帆ちゃんのお爺さんだったそうだ。
一ノ瀬先生が手術のミスをした事、当然それはテレビに取り上げた。
テレビに取り上げられて、一ノ瀬先生は「殺人未遂犯」だと一部の人からネットで叩かれた。
そして、今は塞ぎ込んでしまっている。
夏帆ちゃんの両親は、自分の親が手術を失敗して苦しめてしまった人と会うのは
辛かったらしい。
だから、そのまま僕に最後の挨拶もせずに引っ越ししてしまった。
両親にも、夏帆ちゃんが「僕が入院してる間に何か言いに来た?」
と聞いてみた。
そしたら、難しい顔をして少し悩んだ後に教えてくれた。
手術を失敗したという連絡が入って少しした時に、夏帆ちゃんの両親が家に来て
「私の父親がご迷惑をおかけししました。本当に申し訳ございません」
と、言いに来たそうだ。
僕に両親は、なんと答えればいいのか分からなかったから、黙り込んでしまったらしい。
それを、怒りだと捉えてしまった様だ。
だからそのまま、流れる様に引っ越して転校してしまったそうだ。
お爺さんは塞ぎ込んでしまい、夏帆ちゃん自身もは仲のいい友達と引き裂かれ
見知らぬ土地で生活する事になる。
事の発端は全て僕が病気になった事が始まりだ。
だからこそ、
「僕が病気になんてならなければ」
と考えてしまう。
彼女の人生を狂わせた原因なのだ。恨まれているに違いないと思っている。
しかも、再婚して苗字が変わったと言っていた。
僕の知っている夏帆ちゃんの両親は離婚してしまったのだろう。
何が原因かは分からないでも、なんとなく僕が理由なんだなと察した。
そうでも無ければ、あれだけ仲のいい夫婦が別れる事にはならないだろう。
だから、僕も夏帆ちゃんを探して無理矢理にでも会ってやろうと思えなかった。
仲の良かった彼女から、憎悪を向けられるのが怖かったのだ。
自分が可愛かっただけである。
なのに、今になって再会してしまった。
彼女が夏帆ちゃんだと分かって、内心すごく怯えていた。
恨まれていて当然だと思いこんでしまったから、
暴言を吐かれるのではないか?
と考えてしまった。
だから、逃げるという選択をした。
これも、自分を可愛がった結果だ。
明日も学校がある。どんな顔して会えばいいか分からない。
ただ、今までの様に過去から逃げるのはもうやめだ。
しっかり向き合うべきなのだろう。
明日、姫島さんと話をして過去に決着をつけ囚われるのをやめよう。
もう彼女の事を傷つけないために。
_________________________________________
次は少しラブコメの片鱗が見えるかも...?
あと、読み返してたら違和感のあるところがあったのでそこを直すために投稿遅くなるかも
評価してくれると嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます