過去のトラウマ

「うぅ」

「どうして?どうして、いなくなっちゃうの?」

「まだ一緒にいたいのに」

「なんで?行かないでよ」

「1人になるのはやだよ」


「また、何処かで会おうね..? 絶対に。」





「はっ!!」


「はあ...」


(何の夢を見ていたんだろう?)


そう思いながら時計を見た。


時間は8時30分と表記されていた。


「え...?」


遅刻するじゃねえか!!どう足掻いても学校に着くのに45分はかかってしまう。


「オワッタ」




という訳で、俺は皆が授業受けてる中、教室に入って行った。


普通にめちゃくちゃ見られたし、気まずかった。


もう、二度と遅刻しない! とその場で決めた程だ。


その時、皆に見られていたにも関わらず、すぐに分かるくらいに質の違う視線を向けている


人が1人いる事に気がついた。


そう、姫島夏帆である。


何故か、彼女1人だけが 好奇や呆れ 以外の視線を俺にむけていたのだ。


でも、その真っ黒な瞳を見てもなにを考えているのか全く分からなかった。


それにここまで見られると、何故そんなに見てくるのか聞きたくなってきてしまうのである。


本当は見られていない という考えもあったが、これはもう勘違いのしようがない。


かと言って、この場で質問するわけにもいかないので後回しにした。



 

放課後、掃除場所が同じだった事もあり、思い切って


「何で姫島さんは僕を時々見てくるの?」


と聞いてみた。


すると


「え?見てないよ?」


と返答されて(うわ〜恥ずかしい〜勘違いだったじゃねえか)と思い彼女の顔を見ると


少し赤くなって目が泳いでいるのが分かった。


(いや、嘘ついてるやんけ)


そう思い、もう少し聞いてみることにした。


「顔が少し赤いけど大丈夫?熱あるなら保健室いきな?」


「え?」


そういって、顔を抑えようとした。


(もう、真っ黒じゃん。反論の余地ないじゃん)


「もうさ、隠さなくて良いからさ理由、言ってくれないかな?」


そういうと


「私の事覚えていますか?」


と聞かれた。


「いや、全く記憶にない。あの日に初めて見た。」


「じゃあ、幼稚園と小学校でいつも一緒にいたショートボブの女の子を覚えていますか?」


(ああ〜。あの子か。今でも元気にしてるのかな)


「覚えているよ」


「その子です。その子、私です。」


(嘘つけ。その子は今頃、俺を恨んでいてもおかしくないんだぞ?)


「嘘はやめて下さいよ」


「嘘じゃありません。じゃあ、司くんの黒歴史を言って上げましょうか?」


「言えるものなら言えば良い」


「そうですか。司くんが小学校2年生の頃、お風呂を上がってそのまま玄関先まで出て行ってしまいご近所さんに裸を晒したのを覚えていないと」


「ちょっと待て、何故お前がそれを知っている?」


「だから、言ったじゃないですか!その子が私だって!」


「………」


「………」


「君は本当にあの時の女の子だったのか。けど名字が変わっているし、こんなに大人しく無かったと思うがな。」


「そっそれは...。でも、何年も経てば性格とかは変わると思います!!

あと、名字が変わっているのは親が再婚したからです。」


「……………」


「黙らないでください!!」


「ごめん。なんて反応するべきなのか分からなかった」


「あと、そろそろ良い時間だから今日はもう帰るね」


「あ!ちょっとm」



はぁ。嘘だろ。あの時の女の子が夏帆さんだったなんて。


本人の前だから取り繕っていたが正直なところかなり辛かった。


だから、適当な言い訳して家に逃げ帰ってきたのだ。


あの頃の俺は、本当に酷い人間だったからな....


思い出さないように記憶に蓋をしていたはずだったのに...


色々と思い出してしまった。



_________________________________________


次は司君の過去について書きたいと思っています!


























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