Daily #11 寝落ち

 ぼとり、とスマホが顔に落ちた。


「……うー……」


 鈍い痛みで中途半端に意識が覚醒する。私は唸りながら顔からスマホを剥がし、ロックを外した。先程と同じ画面。誤動作はしていないようだ。

 もそもそと体勢を変えると続きを見ようと画面を注視した――はずだった。スマホが手から滑り落ち、はっと目を開ける。


 また寝落ちたようだ。

 ……眠い。ひたすら眠い。

 睡魔に脳を後ろから引っ張られ、すうっと抜けて意識が暗く沈んでいくような感覚。

 それはハリーポッターでディメンターに魂を吸われているようなイメージに近い。守護霊の呪文を唱える間もなく、また意識が途切れては覚醒する。

 私は諦めてスマホを枕元に置き、枕元の飯綱いずなを引っ張り込むと目を閉じた。



 短い睡眠を繰り返して、ようやく頭がはっきりした頃にはおやつの時間を過ぎていた。ここまで寝たのは久しぶりだった。だが休日をムダに過ごしたとは思わない。健康はまず睡眠から。寝不足はパフォーマンスが落ちるものだ。

 そんな中で平日をよく生きてこられたものだと私は思う。


 飯綱を撫でて枕元に置くと私は体を起こした。

 カーテンと窓を開けると立ちくらみに襲われ、窓に手をついてやり過ごす。軽い脱水症を起こしているようだ。


「み、みず……」


 私はケトルを手に取ってキッチンへ向かった。

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