第17話 旅は道連れ世は情け

「さ 門が開いたんだ立ち止まらないで入りなよ あ 口には気をつけな」

「ああ」


サカモトが中に入ると奇怪としか言えない様々な風景が浮かんでは消え、夜空とも昼間ともとれる矛盾の中に生まれた隔離されたような空間が広がっていた。


「お前私の声は聞こえているか?」

「ええ・・・」

「よく私を見て気が狂わないな まあもう慣れたのだろう?神に」

「まあそうなります どうかお願いが」

「なんだ? 使者が気に入ってるようだ話ぐらいは聞こう」

「どうか救ってくだs」

「だめだ」

「え」

「だめなのだ 私はここから出られない お前の力でなんとかするんだ」

「では私をなぜここへ」

「ここは全ての時間と空間に繋がっている 好きに使え」

「ありがとうございます クトゥグアなどを連れてきても?」

「よかろう あやつは敵ではあるが今回ばかりはしょうがない」

「何か確執が?」

「まあ我らが神を起こされては困る ニャルラトホテプの暗躍を止めねばいつ世界が滅んでもおかしくない だからお前に協力する」

「ありがとうございます」

喋ってはいるもののすぐに頭はどこに飛ぶのが正解か考える。


「考えておるな?一度仲間を連れてくるか?」

「え、ええ お願いします」

「お前が連れてきたい者を思い浮かべろ さすれば呼応してくるだろう」


「ここはどこだサカモト」

「また戻したのかサカモト・・・」

「ジョン!なんとかなりそうだ」

ジョンと猫に再開するサカモト。


「おいおいサカモト 王の御前だ はしゃぎすぎだよ?」

「あ、ああ 悪いな」

「良い 気にするな 策を練るためにここを使えいくらでもいいぞ」

「ありがとうございます」

「王は優しすぎるよ」

「そういうな まあ私とて本来人間に協力などせんが今回は特別だ 身内のごたごたを外部の しかも人間にやってもらうんだ 力ぐらいは貸さないとな」

話合いを始めるサカモトたちはどうするかを悩む。



「で サカモトよ 一つ言い忘れていた些細な事だがいいか?」

「はい?なんでしょう」

「私の力を貸すことはできるがそこに行くにはそれ相応の対価 分かりやすく言えば時間を戻したり進めたりした分の時間をお前の体から貰わねばならぬ」

「では大幅な時間は戻れない・・・と」

「いや そなたに鍵を渡しただろう?それにもう一度祈ってみろ さすれば寿命が止まる つまり寿命で死ぬことは無くなる上に外傷でも死ねん 無論人間には戻れん 人を捨ててこの力を使うか?という問いだ」

「サカモトやめろ そんな事をしたらお前は社会では生きられない」

「神の私が言うのもなんだが私は勧めない」



「いや いいんだ覚悟なんてものはとっくにできてる」



「サカモト・・・こんな事をお前に・・・」

「お前の覚悟は受け取った では祈れ」

サカモトは鍵に祈った。

何も変わった感じはないが確実に人ではなくなったという実感が湧いてきた。


「ははは・・・本当に人間辞めたんだな ごめんな母さん父さん」

「サカモト・・・」

「そこはいつも通り頑張れよ だろ?」

「いや お前と最初は協力していたんだ あんな事になるまではな だがもういい人間と接しすぎて私は感情を持ってしまった お前に守られて私は初めて人間という種族を理解できた もう大事な者を傷つけさせたくない」

「ああ 頑張ろうぜジョン、猫」

「ああ」

「頑張るぞサカモト」

決意が固まった所でサカモトは一つの事を思い出す。



「100年前だ そこに行く 王よ私の考えが正しければそこに行けば確実にこの物語を終わらせることができます」

「ほう・・・そこはどこだ?」

「100年前ニャルラトホテプと人間が出会いアザトースを呼び込むための手筈を考えた場所です その時空に私を飛ばしていただきたい」

「・・・そこで全てが終わると?」

「はい 必ず」

「いい目だ ここに来る人間では見れない澄み切った目をしている ではこちらを通れ お前らなら寿命なんぞ気にしない者たちだろう?」

「ああ 私は神だ」

「私は・・・人だが大丈夫だ」

「お前のような異種族が人間を名乗るとはな いい仲間を持ったなサカモトとやら」

「ええ」



「行くぞ!すべてをこれで終わらせる!」

「ああ 任せろ馬鹿をタコ殴りにしてやる」

「バックアップは任せろ」



「・・・行ってしまったな」

「王にしてはかなり温情を見せたのでは?」

「まあいい人間が正義を持ち人を辞める瞬間は溜まらん まあもう私はどうなるか知っているがこの空間から覗いておこう」

「一体どうなるんです?」

「ほらお前の前にも出したぞ 見ておけここで全てが終わる」

「楽しみだなぁ」




「頑張ってねサカモトたち」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る