第16話 全てを捨ててでも

黒服が例のごとく集まってきた。

半グレたちも距離を保ち疑われないよう黒服たちを観察している。

サカモトと猫は距離を保ちお互いの関係がバレないような位置にいる。


「もうそろそろだ 猫準備はいいか?」

「ああ 私も見ているこれ以降は作戦通り連絡は控えよう」

「ああ じゃあ頼んだぞ」

「これでラストにしよう」

「ああ」

電話は切れお互いに準備を始める。


「よし!準備万端だ」


黒服達が集まったのか号令をかけた。

半グレたちがぞろぞろと黒服を囲むように走り囲む。


「てめーらだな?無貌教団ってのは」

「・・・」

「なんか喋ったらどうd」

 銃声が響き半グレたちがひるみ警戒態勢を取る。


「やっちまうぞ!」

「やれやれ!ぶっ殺せ!」

士気を上げるように号令をかけ100人対100人規模の殺し合いが始まった。


ある程度した所でサカモトが破魔矢を使用する。

「恨むなよ!」

「・・・なんだ!?なんで私たちはこんな!痛いやめてくれ!」

「やめて!子供が入院してるの!私しか!やめて!」

「うるせえ!殺せ!」

状況的には圧勝であるものの半グレたちが戸惑いながらも暴力をふるう。




「おいおいおいおい どこの誰だ 迷惑な神だな 会ったら殺してやろう」




「おい!ニャルラトホテプ!久々だな!顔を出せ!」




1人の美人な女が猫に歩いてきた。

「久々だなおいクトゥグアか? いつまで経っても俺に付き纏いやがってクソが」

「私たちの未来を邪魔するな」

「お前人間の味方か?丸くなったな おい まあいいか殴り合いでもするか?」

「そっちがそのつもりならいくらでも付き合ってやろう」


「おい!あっちに黒服がいるぞ!」


「黙れ」


その声と共に半グレが一瞬で殺された。

教徒の元へサカモトが急いで銃を構え一人ひとりナイフと銃で殺していく。

「やめてくれ!」

「すまないな!だがやめたら意味がないんだ!」


「まだいるか まあいい あいつノーデンスの力使ってないか?おいおい天敵祭りだな まあいい天敵だとしても殺すまでだ なあクトゥグア?」

「ああ お前を殺してサカモトのご飯を食べるまでだ」

「人に懐柔される神ってのは情けねえなあ おい」

「いいものだぞ?人間ってのは」

「そうか?まあそんなことは俺らの殴り合いより大事じゃないだろう」

「ああ いつもこんな感じなら平和なんだが・・・」

神が歩み寄り手が届く距離になった瞬間に殴り合う


「楽しいなぁ!お前だけだよ!殴り合いに応じてくれんのは!」

「地球を壊したくないだけだ!早く死ね!いいから死ね!」

「まだだろう!こんなもんで終わらんだろう!こんなもんで死ねんだろう!」

「本気になる前に殺してやるよ使者風情が!」

「言ってくれるねえ!力の無い火の種族が!」

本気の殴り合いをするだけだがとんでもない再生能力で頭が千切れても戻り腸が出ても戻りを繰り返す。

一見意味はないがニャルラトホテプは本気でこの状況を楽しんでいる。

一方クトゥグアは本気で殺し合いをしている。



「殺し尽くした・・・これでいいだろう」

サカモトは信者を全員殺し尽くし儀式現場へ向かった。





「あ?誰だお前」

「今回の依頼人だ 助かった」

「お前がかよ まあいいここは全員殺した 被害は出たが俺のチームじゃねえ」

「そうか 助かった ん?生きてるなこいつ」


「ハハハ・・・神が来るぞ お前らの抵抗は無駄だ」

「は?儀式はしてないじゃないか!」

「馬鹿が 俺らの儀式は祝うだけだよ もうタイマーはセットされている」

「不味いぞ・・・」

急いで時間を確認するサカモトだがそれは遅かった。



~♪



背後からフルートの狂った演奏が聞こえる。

見てはいけない。

見てしまった半グレ共が奇声をあげて壊れていくのが背後から聞こえる。


「まだだ!」

箱を使い時間を戻す。





「危なかった・・・うっ・・・」

渋谷の駅前で全てが巻き戻っていた。

強烈な吐き気を催しその場で吐いてしまう。

今日はもう使用するのは止めた方がいいだろう。


「やばー あの人キモすぎー」

などと声が聞こえるも無視を決め込む。

「時間が戻ったがこれは不味いな いつタイマーが起動したのか掴めない」



「やあサカモトやっぱダメだったね」

「・・・お前かやっぱり時間に影響されてないな」

「どうする?まだやるかい?僕はいくらでも待つよ」

「ああ まだ何とかなるかもしれない3年を無駄にしたくない」

「たった3年に固執できるなんてすごいね」

「悪かったな だが何かあったらお前を頼るよ」

「うん 待ってるよ」

「後そうだ 俺は何か箱を使ったら力を使えるって聞いたが本当か?」

「え?もう使えるよ? えい!」

「は?なんで服にツバを吐くんだよ」

「いいから時間よ戻れと思って力を使ってみなよ」

「あ?・・・あ!」

力を使うと服のつばがなくなっている。


「どういう事だ?」

「時間を巻き戻すってのは違うんだけど自分だけど3秒前の状態に戻れるんだ」

「ああ ありがとう使わせてもらうよ」

「僕じゃないけどね まあいいやいつでも呼んでよ」

「ああ じゃあな」

その場で別れまた時間になった。


「よし今回は儀式場の奴ら全員撃ち殺してもらうようにしたしこれで大丈夫だろう」

「・・・ほお お前いい根性してるじゃないか」

「な!」

「お前の愛しのニャルラトホテプだ サカモトだったか?クトゥグアの愛人とは驚いたぞ」

「・・・時間を巻き戻したはずだ 何故覚えてる」

「ああ 時間に対して抵抗が少しできたらしい記憶を少し引き継げた」

「・・・殺す気か?」

「いやいや あんなクトゥグアとの楽しい殴り合いをさせてもらったんだ しかもまたできるんだろう?俺が負けてもアイツが負けても楽しいんだ」

「イカレが・・・」

「ハハハハハハ お前面白いぞ 狂人が崇める俺をイカレというか そうだ俺は狂気の代弁者だ どこまでも面白おかしく生きている」

「何故俺のところに?」

「そうだな まあ人間が生み出した争いは見る分にはおままごととして最高だ だがこれはイカンな この破魔矢とやらはいかん すぐに折れ」

「分かった」

「そうだそれでいい 殴り合い殺し合いは我々神はそうそうできないんだ 人間の殺し合いのおままごとは最高だ だからそんな無粋な物やめてくれよ?な?」

「もう折ったお前の条件は飲んだ」

「ああ じゃあな またやらせてくれ」

「・・・」

「あ そうだその鍵はやめといた方がいいぞ 人間はもうやめてるが神に片足突っこんじまうぞ」

「参考にしとく」

死を感じたが上機嫌なのか許してくれた。



そして再び何度目かの決戦が来た。

それと同時に何者かが渋谷へ向かっていた。



「殺せ!こいつら全員だ!」

「行け!頭をカチ割れ!」

「・・・神のために」

殺し合いが始まった。


「人間の戦いだぞ なあ?最高だろ?クトゥグア」

「お前時間を感知できてるな?」

「ああ 最高だ 男の体だったら服を汚してるよ」

「どこまでも下品で下等な神だ 存在事消してやる」

「ああ そうだ儀式じゃなくてあれは祝いだからな まあ俺を殺せば魔力がないから意味はなくなるぞ どうした?はやくこいよ」

「人間の3年は重い 無駄にはさせん」

「なんだ?あいつを好いているのか?もしや・・・寝たか?」

「死ね!殺してやる!」

神同士の本気の殴り合いが始まった。

先ほどの殴り合いの比ではなく一部分が変形し巻き込まれた人間は即死するだろう。


サカモトは先に儀式場へ向かい加勢し全員を撃ち殺した。

「お前カタギか?」

「関係ないだろう ここを見張っておいてくれ 来たものは全員殺せ警官でもだ」

「イカレてるな」


そんな声を無視し渋谷駅前へ急いで向かうと黒服が一部で戦っていた。

半グレが劣勢になっておりサカモトが加勢するものの全員銃を武装しているため膠着が続く。

神同士はクトゥグアが優勢のようだ。


「全員突っこめ!命捨てろ!一番殺した奴にはボーナスだ!」

この一声で全員が突っ込むものの教団側が4人ほど残ってしまった。


「クソどうする・・・だがいけるはずだ!」

サカモトが地道に戦い銃を落とさせナイフで全員を殺していく。


「よし!こっちは終わりだ!」

サカモトは弾を使い切りクトゥグアの様子を見に行く。


辺り一面警官や一般人の関係ない血肉に塗れている。




「死ね!」

クトゥグアが炎を纏い何度も殴りつけるとニャルラトホテプが片膝をついた。

「くくく・・・あー 楽しかったぞ これで終わりか 楽しい100年だった」

「二度と人間に関わるな・・・ゴミ虫が」

「がはは・・・よく言うわ」


「猫・・・勝ったのか」

「ああ・・・もう終わりだ」

「ありがt」


パン!


その音と同時にサカモトの体に何かがつっこみサカモトは銃弾を避けれた。


「いっ・・・なんだ・・・」

「サカモト・・・」

「ジョン!お前!大丈夫か!」

「人間で言う急所だ 存在が薄い私が寄生元を失えば死ぬ だが気にするなお前は明日へ行け それでいいんだ」

「お前は!協力しないって!」

「いいんだ・・・サカモトこれで・・・」

「猫!何とかしてくれ!」

「無理だ・・・」

気をとられ時間がもう戻せない。


「面白いな!どうするサカモト!完全に勝ってもなお友の命を優先し巻き戻すか?ここに来て一番面白い見世物だぞ!」


「ジョン・・・お前・・・」

「いいんだ以前サカモトにかばわれた その時に協力しなければこんな事にはと思って協力しなかったんだ だが最後に協力できた これでいい」

「嫌だよ お前なんか無いのかよ 凄いんだろう!なあ!生きろ!そんな事言われたら」

「楽しかったぞお前との生活は・・・」

ジョンはサカモトに手を握られながら事切れてしまった。


その後5回時間を巻き戻し何度トライするもジョンが死ぬ。5秒戻してもやっぱり何度やっても死んでしまう。サカモトが一回死んだがジョンが戻してしまう。

何故かそうなる運命のように思える。



サカモトは鍵に祈ってしまった。



「神よ・・・皆が死なないで済むようなそんな未来を!7月8日を!」

「サカモト!いいぞ!その鍵を使ったか!お前は人間じゃない!やったな!ここ一番で最低の選択肢だ!もがき苦しんで死ぬか神になるかだ!ハハハ!」

「サカモトやめr」



目の前に門が開き全ての時が止まった。



「やあサカモト 僕を呼んでくれたね」

「頼む!なんでもするまたこんな思いをするのは御免だ!友達に危害が無く皆が幸福になるような!そんなベタな展開になるようにしてほしい!」

「それは君がつかみ取るんだ さ 我が主へ謁見だ」

「・・・ジョン お前は死なせない」


サカモトは門を開く




「久々に門が開くな 誰だ?」

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