第10話 分岐は何処で
「どうしたの?サカモトくんボーっとしちゃって」
「!・・・あ、ああ いや すいません」
「もう今日上がりなんだから上がりなよ」
「お先に失礼しますね」
「うん 来週またよろしくねー」
「ははは・・・お先です」
「来週はいつになるかねぇ・・・」
身支度を終え家に帰る。
「ただいまジョン」
「・・・私のその名前を知っているという事は失敗したが記憶を引き継げたんだな」
「駄目だった 成果はあったがな」
「私に聞かされても困るぞサカモト」
「まあそうだな」
サカモトは家について一息ついた後考察する。
・青白い光は筋力などを強化ではなく効果や機能を増幅する物ではないか?
・札はニャルラトホテプに有効(神聖な物だから?詳細は不明)
・教団相手には1チーム程度では不利?40人程度では歯が立たない
・信者は痛みを感じてないのかひるまず戦っていた狂気なのか痛みを感じないのか
・ニャルラトホテプは本気を出さないor出せないor遊んでいる
・前のような重圧は感じなかった
「悩んでいるようだな・・・サカモト1つ言っておこう」
「どうしたんだ?ジョン」
「確実にニャルラトホテプは倒せない」
「傷はつけれたし本人もダメージを負ったと言っていたぞ」
「今のお前を地球にいる動物で例えるぞ ミジンコと象だ」
「神だろう?そんなことわかっている だが有効打を与えられたんだ」
「サカモトに質問だ ニャルラトホテプは一度でも本気になったか?」
「いや・・・」
「そうだろう ミジンコは水の中象は地上だ 戦う場所も違う上にスケールが違う
どう足掻いても勝てないのに有効打を与えられたのは温情だ」
「だがどうする?ジョンならどうするか教えてくれよ」
「私の考えを聞くのか?私なら諦めるな 無理だ」
「・・・まあそれが普通だよな だけどこんな異常な時はまともでいちゃいけない」
「人が変わったな」
「ああ ニャルラトホテプと対峙した時に躊躇が無くなった」
「それはそうだあれだけの圧に耐えられる人間は普通いない サカモトはどこかで軽く狂気に照らされたんじゃないか?」
「・・・一回だけな それのおかげか?」
「うーむ 心落ち着く曲でもあればいいのだが」
「そんなんで治るかよ・・・」
「・・・頑張るんだサカモト」
「またそれかよ」
とりあえず行動をするために猫に声をかけた。
「おおよそは把握した」
「猫でいいよな?とりあえず10億俺の口座に入れといてくれ」
「おお!そこまでの金額を提示するとは馬鹿だな!」
「前も聞いたなこれ・・・インターフォンをハッキングして俺の家でやり取りできるようにしといてくれ」
「それもしておくぞサカモト」
「頼んだぞ猫」
「任せろサカモト」
「さてお札を買いに行きますかね」
前回お札を買った所へ行き手持ちであった10万円を降ろし買いに行く。
到着しバイトらしき巫女さんに声をかける。
「この邪気退散のお札って今何枚ありますか?」
「へ?・・・えーと神主に確認してきますのでお待ちください~」
待つこと数分
「70枚ほどありますが・・・」
「全部もらえますか?」
「1枚千円になります!合計7万円です!」
7万円を手渡し大金を見た瞬間元気になった巫女さんに現金だなぁと思うサカモト。
「あの~これって4日後までに1000枚ぐらい用意できませんか?」
「は?え?・・・えーっと目的は・・・」
「あ~・・・えーっと・・・ちょっとお化け屋敷で本物が出ないように舞台裏に貼りたいというか・・・ははは」
「あーなるほどー」
「で、できるんですか?」
「お待ちくださいね!」
更に元気になった巫女さんは急いで神主の所へ行った。
15分後
「できます!」
「いやぁ~助かります~ ここのお札は効果があるとかで~」
「ええ 神様の加護がありますよ~・・・きっと!」
「きっと・・・って まあお願いします」
「お名前と連絡先を教えてもらってもいいですか?」
「サカモトです 電話番号は~」
「はい わかりました」
横にある古い電話で電話をかけてサカモトの番号が正しいか確認を行いデカい収入が入るということもありニコニコの巫女さん
「あ!お守りなんてどうですか?」
「あーそうですね 健康祈願とか魔除けとか悪い物に効きそうなものって何がありますか?」
「そうですねぇ・・・健康祈願と魔除けのお守りですね!」
「結構そのままですね」
「はい!分かりやすさが一番!」
「ではそれを1つずつ」
「700円と800円で1500円です」
「これで」
「500円のお返しです~ ではお待ちしてますね~」
「それでは・・・」
ペコリと頭を下げサカモトは神社を去った。
「狂人風情が私の神社に来れるとは・・・神から力を借りてる狂人などいるとは思わなんだ 不利益になるようなら殺せば終わりだ 有益なら使うまでよ」
この言葉誰に届くでもなく風に消えた。
「喫茶店でも行くかフォースリーはまだやってるはずだ」
電車に揺られフォースリーへ
「いらっしゃいサカモトさん」
「マスター元気?」
「一昨日も来たじゃない 元気だよ」
「あーそうだっけ?」
「若いんだからしっかりしなきゃ」
「そうだね」
いつもの席でゆっくりくつろいでいると誰かきたようだ。この時間にしては珍しい
16時頃は閉めるときもあるため客があまりいないのだ。
「我々の教団に入ってどうですか?」
「ええ とてもスッキリした気分です」
その瞬間思考を止め話を聞くことにするサカモト。
長い事話しているがハザマから聞いたあくびするほど適当な教義は聞くに堪えずコーヒーをちびちび飲みながら聞いていた。
「サカモトくん英語できる?俺さっぱりでさ」
「え?どうしたの?」
「あっちのお客さんみたいに英語喋ってみたいなぁと思ってさ」
「・・・は?普通に喋ってるじゃない」
「?・・・あー大学とかでリスニングって奴で慣れてるのかね」
「・・・あーうんそうだy」
「あなた私の言葉が分かるんですか?」
不味い不味い不味い冷や汗が滝のように流れ思考が止まる。
「お客さんごめんね 盗み聞きしたかったわけじゃないのよ」
純粋な笑顔をマスターに向け1000円を差し出しコーヒー2つと言い見覚えのない女が前に座る。
「ああ サカモトくん知ってるの?」
「あ・・・いや・・・うん さっきゼミの人だよね?って言われて」
「そうなんだ 外人さんに見えないけど交友関係広いねえ」
「ははは・・・」
「奥へ来てもらっても?」
従うしかないようだ。
札を何枚かポケットに入れついていく。
「・・・話はなんだ」
「お前は何者だ?」
「サカモトだ」
「一端の人間が何故言葉が分かる?」
「そろそろ素顔を見せたらどうだニャルラトホテプ」
「ははは・・・そこまで知っていて狂わないか?何故だ?人間ごときが」
整った容姿が歪みこちらに殺意と重圧を向けながら肩をつかむ。
「死ね!」
札をありったけ掴み光を出しながらニャルラトホテプにぶちこむ。
「ノーデンスの馬鹿か!あいつめこんな狂人についたか!だがこいつは理解してないぞ!人が神に逆らえる訳がないのになぁ!」
当てたであろう心臓部分が空洞になっているものの血は吐いておらずただただ空洞が広がっている。
「ちょっとちょっと~うるさいよ~はい アイスコーヒーね」
「ああすいません 久しぶりの旧友の馬鹿話がおもしろくて」
「ははは つもる話もあるか うん 楽しんでいってよ」
「すいませんね」
「で?これで終わりか?こんなもの傷がつくというだけだ お前は針に刺されて死ぬか?神と人間はこれだけ差があるんだよ 分かったか?人間」
「・・・」
「だんまりか?殺してもいいが・・・」
「・・・」
「いいぞ 興味が出てきた 帰っていいぞ」
「・・・」
「早く立て ああ 絶望しきっているのか狂気にはやはり落ちないな」
「じゃあ死ぬか」
マスターが先に頭を貫かれた。
ばたんと倒れこみその場で事切れた。
「次はお前だな」
「・・・し、死にたくない」
「殺そうとした相手にそれを言うか?あの馬鹿がつくに相応しいな」
ボタンがバックの中にありこの状況から過去に帰れない。
一度死ぬしかない。
狂人とみなされていてもなおまだ生への執着はあった。
「うわあああ!」
半狂乱になりバッグで女を叩く。
札を取り出した際に開いていたため中身がひっくり返る。
「おいおい無様すぎるぞノーデンスでも・・・あ?お前アマテラスまで味方か?どこまでもふざけているな」
「な、なにをいっている 知らないそんなもの」
お守りが目に付く それを即座に手に取り青白い光が発光する。
「ハハハハ お前愉快だぞ アマテラスの力のまでとはな・・・どこまでか試してやろう」
サカモトの顔に向けて触手が伸び触れようとした瞬間弾いた。
バキン
「ほー・・・そこそこの力でやったがな まあ奴ならありえるレベルではあるが」
お守りが弾け飛ぶ。サカモトは死を悟ったこれで終わりだと。
「狂人が絶望とは人間は面白いな ではお望みの死だ」
「うわあああ!」
出口に向かって逃げるサカモトだが虚しく触手が足を貫き先端が反しを作り足をひっぱる。
「やめてくれ・・・」
「駄目だ お前は太陽に近づきすぎた 落ちろ」
両腕両足を貫かれ壁に固定されザクザクと触手に貫かれる。
もう一人の男は何も感じてないのか人形のような能面顔でその場で座っている。
「最後に何か言うことは?」
「・・・お、お前をいつか」
「これで最後になるとはおめでたいやつだな あともうちょっと楽しませてもらう なにちょっとだ 3日ぐらいは生かしてやろう」
サカモトは三日三晩痛めつけられた。
精神が壊れないため発狂もできず傷を負ってもニャルラトホテプが満足するまで終わらない。正確に言えばニャルラトホテプが傷を治してしまう。
「我が神を降臨させる前のいい気晴らしになったぞサカモト」
「・・・」
「ちょっとだけだったがもうそろそろ朝が来る そろそろ飽きたのでな」
「・・・いつか・・・お前を・・・」
「どうした?言ってみろ 幾らでも待つぞ」
「殺してやる」
「神を殺すか!やってみろ!お前のような馬鹿は人間では見たことがないぞ!だがお前は死ぬ一体どうやって?」
「誰が教えるもんか」
「くくく・・・読めんよなぁ人間は さらばだ」
脳天を触手が貫いた。
アザトースは数日後召喚され世界は巻き戻った。
「あら?またか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます