第9話 最後から最初へ

「・・・10時か」

SNSの動向をチェックするも今の所なんともないらしい。


「覚悟は決まってるはずなんだがなぁ」

人殺しをしたことがありますか?と言われたらほぼ「はい」と答える人はいないようにサカモトは人殺しをしたことが無い。

ニャルラトホテプの存在を感じたことで精神が歪になっているため躊躇は無くなっているが、人間としての理性はまだ残っているため理性が止めてしまう。


「サカモト良い事を教えよう あの教団の奴らはほぼ人間ではない」

「どういうことだ?」

「あいつらは理性と正気を捨て加護と狂気を貰っている」

「・・・ガワだけ人間ってことか?」

「最早神話上に出てくるような神を見ても平気な生き物だ 人間ではない」

「・・・精神性が人間ではないってことか」

「救えないのだああなった人間は」

「見た目が人間であれば戸惑うんだ俺らは」

「そんなものかサカモト」

「そうだ」

台所で顔を洗いながら受け答えをするサカモト。

決心がついたとまでいかないものの心に折り合いをつけた。


「まだとは言え先に動くか」

「ご飯は無しかサカモト」

「ああ 悪いな」

「大丈夫だぞサカモト」

「行ってくる もしダメならリセットを頼む」

「ボタンを忘れるんじゃないぞサカモト」

「ああ じゃあな だが今回で終わりだ」

「前のサカモトも同じ事を言っていたぞ 今回は新しい事をしている変わるかもな」

「きっとうまくいく」

ドアを閉め靴紐を結び駅へ向かう


「次は渋谷~渋谷~」

サカモトは電車から降り何をするかをシミュレートする。

・黒服を見つける

・殺す


「簡単な事だ できない事じゃない できるさ・・・」

独り言で自分を奮い立たせ駅前から前回観測されたビル付近の喫茶店でSNSと街を観察する。

モガミとは作戦では干渉しない約束のため電話はしないが明らかに危なそうな人が多く仕事はしてくれるようだ。


「アイスコーヒーです」

「ありがとうございます」

ガムシロップを5つミルクをたっぷりと入れ糖分を補給する。


ピコン


「サカモト黒い服を着た奴がSNSの渋谷付近の写真で写りこんでるぞ」

「ありがとう猫 どの辺で多い?」

「ハチ公前らへんだ 頑張るんだぞサカモト」

「じゃあな あとでまた頼む」

甘すぎるコーヒーをがぶ飲みし水も一口で飲み干し店を出る。


「普段通り歩いて集まったら・・・全員射殺だ」

ライダーズの巻き添えも辞さない覚悟で常人の神経ではない覚悟を決める。


「!」

黒服がいた。集まっている確実に歩き出すまでスマフォを弄るふりをしながらやり過ごす。ライダーズであろう柄の悪い集団も反対車線で黒服の動向を見ている。


ピコン


「サカモト黒服の情報が次々に上がってきている焦るなよ」

「分かっている」

「仕事が終わったら連絡をくれ 手配しておく」

「分かった 助かる」


がやがやしている渋谷がいつにも増して不気味だ。

黒服が集まりだして周りも写真を撮ったりとしている。

時刻は15時30分だ。そろそろ決戦の時だ。

ライダーズとサカモトだけがここに集まる異様な雰囲気を理解していた。


時刻が16時になった。

「△〇!?’&%■!?。△〇!?’&%■!?。」

黒服が聞いたことも無い言語を大声で喋り出しながら集まり出し行進しだした。


「記述にこんなことなかったぞ!?・・・だがいいやるまでだ」

ヘルメットをかぶり革ジャンを着てナイフと銃を持つサカモト。


「あいつらだ!行くぞお前ら!全員殺せばいいだけだ!」

ライダーズも動き出し黒服達に向かっていく。

サカモトも同時に動き出すも人がいて身動きが取れないため上空へ一発発砲した。


広場がざわつき何も知らない人間は一斉に逃げ出す。

警官が何事か分からないままあわてふためいている。


人が射線上からいなくなりサカモトと黒服の間に人がいなくなった。

隙を逃さず走りながら黒服に弾を撃ち込む。


「サカモトォ・・・お前におもちゃは効かないって前言っただろう?だがその匂いはノーデンスか?」

ハザマが肩や足を撃たれながら喋る。


「あいつらを殺せ!ライダーズ!今しかないぞ!」

ナイフなどで黒服を襲うも黒服は痛くないのか純粋な暴力と数でライダーズと拮抗している。


「覚悟を決めた人間に重圧は感じないぞ!ニャルラトホテプ!」

「おもしろい!それでどこまでできる!やってみろ!ノーデンスの馬鹿まで引っ張ってくるとはおもしろい!ノーデンス!お前の下僕を殺すぞ!出てこい!」

距離を取りながら弾を12発撃ち尽くしリロードを行う。


「逃げて豆鉄砲をぶちこむだけか?それで神である俺を倒せると?」

「死ね!死んでくれ!」

「気概だけ買ってやろう!だがなぁ・・・そろそろ飽きた」

死を感じた瞬間サカモトはしゃがんでいた。

ヘルメットが後ろに落ち振り返るとちょうどしゃがんだ時にできた隙間の部分が無くなっていた。


「・・・っ!」

「サカモトォ・・・ノーデンスの力はしょぼいなぁ?俺の方につくか?そうすれば楽になれるぞ?豆鉄砲をいくら強化しても豆がちょっと速く飛ぶだけだ」

「・・・死ね!」

詰められた距離をあえて使い勢いよく走りナイフを首に刺した。


「おぉ・・・まだ向かう勇気があるか」

「クソが・・・」

「ほらもう一度刺せ おまけだ」

笑顔に怖気づいてしまい冷や汗を滝のようにかき後ろに下がる。


「俺は勝てないのか・・・」

「俺の信者共も勝ちそうだしなぁ・・・まあお開きだ」


「そこの2人止まりなさい!」

「来るな!死ぬぞ!」

ハザマがありえない速度で警官に近づき腕で防弾チョッキごと貫いた。

警官は問答無用で即死してしまった。


「あ?・・・この体はダメみたいだ。まだ楽しく話をしよう」

どさっとハザマが倒れた瞬間ライダーズの面々がいきなり倒れた。

首がない。即座に全員切られて死んでいる。


「よおサカモト。この女の体ならお前も少しは私に興味を持ってくれるか?」

「化物が・・・」

「神だよ」

「どうするんだ?次は?」

バックからあらゆるものをなげつけた。サカモトは半狂乱だ。


「そうかそうかお前ももう終わりか。存外に楽しかったぞ」

「うわ!来るな!クソ!」

「ぐっ!・・・何をしたお前」

「は?・・・」

ダメージがあった。札が青く燃えている。この前神社で買った怪しいお札だ。


「お前!俺に傷を負わせられるのか!おもしろいぞ!まだ戦おう!」

「うわあああああ!」

残ってる8枚を全て持ちニャルラトホテプに向かい突進する。


「そんな突進をわざわざ食らうと思うか?」

足をかけられ見事にこけると札はちぎれ青い光も消えていく。


「クソが!もう一度だ!」

「は?もう一度とはなんだ?」

「次は!次こそは!」

「良く分からんなあ・・・まあ諦めたならもういらないな」

ニャルラトホテプの腕がサカモトの頭をつらぬくその瞬間サカモトはボタンを押せた


世界はまた巻き戻った。



「んーまたダメだったんだな 次はうまくいくさ」




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