第8話 猫に小判

むくっ


「・・・あー・・・だるい」

「余裕だなサカモト」

「ああ・・・もう焦らない」

「頑張れよサカモト」

体をコキコキと鳴らし起き上がる。


「ご飯はいるか?」

「ふりかけとやらで食べたぞアレはすぐ食べれる上に美味いな」

「俺もふりかけでいいか」

ご飯をよそいふりかけでがつがつと食べ始めるサカモト。

食べ終わり窓辺に移動しタバコを吸い朝を体で感じる。


「さてね・・・」

プルルルル


「もしもしモガミさんですか?」

「・・・あー?朝早くねえか?まだ9時だぞ?」

「すいません・・・どうしても今日中に銃と弾丸200発をいただきたい」

「俺らがやる予定だが?不安でも?」

「私も乗り込みます・・・お願いします900万ならあります」

「まあお釣りはあるが返す金は無い 全て貰うぞ」

「もちろんです」

「じゃあ今日の15時に前の喫茶店に来い 鞄を忘れるな」

「はい」

ツーツーツー

電話が切れ前は焦っていたのものの本当の化物と対峙してから気がおかしくなったのか全く気圧されなくなっていた。


「15時まで逮捕前最後のラーメンとか食べるか」

「サカモト私も行きたいぞ」

「1時間後に出るからそれまで休んでろ」

「分かったぞサカモト」

銃を使い渋谷で大量殺人集団として名を馳せる事は取引で確定した今最後の思い出作りをするしかなくなったサカモト。


「これしか・・・これしか無いんだ」

泣きそうになるも涙を堪える。


「サカモト大丈夫だぞお前が逃げるためのルートは手を打ってある」

「!?・・・猫お前正気か?何故そこまで俺を?」

「いいんだあの言葉を知るお前にはその権利がある」

「そうか・・・逃げてるときの暇つぶしに教えてくれよ その秘密を」

「ああいいとも」

それっきりサカモトは喋らず時計だけを見つめていた。


「時間か・・・行こうジョン」

「ああ美味いごはん楽しみだぞ」

近場の飲食店でラーメン、から揚げ、餃子、麻婆豆腐と普段では食べれない量を食べ

ジョンも満腹になったのかいつも以上の笑顔だ。


「美味いぞサカモト」

「俺も・・・腹が・・・」

そのあとよく行ってたシーシャの店に行きボーっとしていた。


「サカモトこれは何だか変な煙だな いつもお前が吸っているものとは香りが違う」

「ああ これはシーシャだ 俺も良くわからん」

「そうか」

バイトで疲れた時に行った事や麻雀やパチンコで勝った後によく行ってたなあなどと考えながら過ごしていると時間が来てしまった。


「ジョン行こうか 俺は商談がある」

「頑張れよサカモト 私は家に戻る」

「ああ 気をつけてな」

電車に揺られフォースリーに行くとモガミが居た。


「ようサカモト遅かったな」

「モガミさんは早いですね」

「仕事だからな」

マスターがまた不安そうな目で見ているが気にしないでおこう


「・・・早速だがこれが約束の品だ」

「ありがとうございます ではこちらを」

札束と靴箱が交換されているという社会的にかなり不味い光景だがフォースリーには客がおらず見るものは誰もいなかった。


「使い方は?」

「全く」

「ネットに書いてある セーフティーを外して引き金を引く それだけだ」

「弾はつめてあるんですか?」

「全てマガジンに入っている12発装填済みマガジンが17個だ 4発はおまけ」

「すいません・・・」

「気にするな じゃあな」

「ええ」

コーヒーを勢いよく飲みモガミは店を出ていった。


「サカモトくんあの人とどういうつながりがあるのよ?」

「いやね昔の友達でさ」

「はぁ~昔はヤンチャしてたんだねえ」

「そんなことないよマスター」

「あ・・・この前のパチンコどうだったのよ」

「いやぁ・・・俺はやっぱ勝てないねぇ」

「そうかい 次は勝てるさ」

「勝つ・・・ねぇ・・・そうだね」

「?・・・まあ気楽にやんなよ」

「そうだねマスター ごちそうさま早いけどもう行くよ」

「また来てよ」

「じゃあね これお金」

「7月6日15時のニュースです。昨日のテロ事件ですが」

マスターと話しているとニュースが15時を告げた。

コーヒー代300円を払い店を出て家にタクシーで向かう。


家に着くとジョンがパソコン何かしていた。

「何してんだ?ジョン」

「ああこれはサカモトが次に作るご飯の計算式の論文だ」

「最高の技術の無駄遣いだな・・・夜まで作らんぞ」

「やはりか私の計算式は今のとこ合っているぞ」

「考えりゃ分かるっつーの」

ため息をつきながらスマフォで銃について調べていく。


「グロック17で合ってるのか?まあいいか同じような物で使い方を調べよう マガジンはこうやって抜いてこうやって・・・セーフティは・・・案外簡単だな」

難しいイメージを持っていたが案外簡単という事に気づくサカモト


「じゃあやってみましょうか ふんっ!」

手に力を入れてみる


「お!やっぱり出たこの変な光」

青白い光が銃を包み何とも強そうなゲームに出てきそうな見た目になっている

包丁などを持ってみると包丁も青く光った。


「後でサバイバルナイフでも買うか・・・」

光が収まるのを待ちホームセンターに行きナイフを5本程度買うことに


「光が収まったな ナイフを買いに行こう」

二度手間ではあるがホームセンターに行きナイフを大きさをバラバラで怪しまれないように買いバッグに入れ家についた。


「後はどうするか・・・」

「サカモト落ち着くんだ 少し焦っているように見えるぞ」

「・・・そうか悪いな」

「あの光がもう出るか確認してみたらどうだ?制限があるかもしれない」

「そうだな・・・ふんっ!」

毎回声がいるのかも疑問だがやってみると再度出た。


「一時間程度でまた出たぞ?インターバルは一時間で効果は30分か?」

大まかな力の制限を理解し手が光っている状態で30分過ごした直後いきなり疲労感が襲ってきた。


「うぅ・・・これかなりやばいな乱用は絶対だめだ」

「サカモトマッサージとやらをしてやろう」

「あぁ・・・頼む」

「お客様凝っていますね~」

「どこで覚えた・・・」

「人間の使うインターネットに書いてあったぞ」

謎のやり取りを行い少しだが疲労がやわらいでいく。


「あぁ・・・大分落ち着いたありがとう」

「私の腕はどうだったサカモト」

「中々だったぞジョン ありがとう」

「そうか!」

パァと顔が明るくなりジョンが喜ぶので帰りに買ってきたチョコを上げるとジョンは不思議そうにしながらも美味いと分かるともぐもぐと食べ始めた。


準備は万端

後は明日教団を全て殺す・・・そう考えると決まっていた覚悟が揺らいできた。

「いや殺して終わらすんだ あんなの人間じゃない」

「・・・」

「俺は間違ってない正義は俺にある」

「・・・」

「俺は正しいんだ・・・」

「相手は邪神だ ためらう必要はない」

「そうだよなジョン」

「・・・頑張れよサカモト」

「・・・ああ」

決意を決める。


「飯を食って今日はもう寝よう」

「今日はカツ丼だ」

「な・・・っ!うどんではないのか!?」

「お前の計算式は違うというわけだな」

「完璧なはずだ・・・我々が間違うなど・・・」

「きっと今回でもう終わりだからな その計算式は未来永劫間違えのままだ」

「もう一度やり直さないか?」

「ふざけんなっつーの!」

「そうか・・・残念だ」

何故か残念そうにしているジョンを無視してカツを作っていく


「「いい音だなサカモト」」

「猫・・・まあいい」

じゅわじゅわと音を立てカラッと揚がったカツを卵で包んでいき二人分用意したらオーソドックスなカツ丼が出来上がった。


「サカモト逃亡したら私に作ってくれ」

「お前はどこに住んでるんだ」

「女の住処を聞くなんてデリカシーがないぞサカモト」

「そら悪かったですね」

「サカモト 私はここに住んでいるぞ」

「お前は男だろ・・・」

「性別なぞ私の種族にはないぞ?」

「そうか・・・まあ中性的だから何とでも言えるのか」

「入れ物を借りてるだけだ」

「そうだったな」

他愛ない話をしながら食卓にかつ丼、箸、お茶を置くサカモト


「まあいい食べるぞ」

「「「いただきます」」」

「猫もなんか食べてるのか?」

「今日もピザだ」

「なんかハッカーっぽいな」

がつがつと食べあっという間に平らげてしまう2人。


「「ごちそうさまでした」」

すっかり人間の食生活になじんだジョンは流しに食器を置く。


「お前ももう人間だな」

「私は人間のような下等な種族ではない」

「そうかい」

サカモトは明日持っていくものをチェックしながらジョンと適当に会話をする。


・革ジャン

・ヘルメット

・武器を入れたバックパック

・包帯


「こんな簡単な物じゃないと怪しまれて渋谷に行けないしな」

「私が協力できればこんな粗末な物など使わせないのだが」

「まあそれが出来ればこんな苦労しないさ」

「悪いなサカモト」

準備物を確認し電気を消しベッドに入るサカモト


「寝るぞジョン」

「ああ」


目が覚めて数時間したら殺人鬼その不安が拭えないまま寝た



「明日だぞ明日!この世の終わりだ!あいつはどう出るかな?」

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