第6話 作戦決行

場所は新宿レックスビル。ある男の時計は7月5日3時を示していた。

「こんなビルになんでこんなもんを仕込むのか分からねえ」

「早くやれ」

「うっす」


黒服たちの所属している事が判明しているレックスビルに爆薬を仕込んでいるライダーズの下っ端2人はせかせかとビルが崩れるほどの爆薬を至る部屋に仕込んでいた。


「そっちは終わったか」

「もう全部やっときましたよ」

「今回の依頼人は相当頭がおかしいが金だけはあるらしい」

「早く行きましょうよ」

「そうだな」

2人は仕事を終え足早に出ていった。



7月5日8時

「ふぅ・・・眠りも浅いな今日から俺は人殺しか・・・」

「頑張れよサカモト」

「へいへい あーなんかなんとも言えないな」

「サカモト人間などゴミに等しいんだ。気にすることはない」

「人間の存在価値が何のなのか分からないよ全く」

「落ち込むなサカモト我々からしたら全て無意味なものだ」

「悟ってるって奴なのか?人外は怖いよ」

「人間が脆すぎるんだ」

「そうだな・・・飯でも作るか」

「おお!期待していたぞ!」

「食欲だけはあんだな」

鮭フレークとネギがたまたま目に入ったので昨日の米と合わせて鮭チャーハンを作ることにしたサカモト。


「これは鮭という魚とネギという食材だな?私も学習して覚えたぞ」

「もっと兵器作るとかしてくれよ」

「それをしたら私とサカモトが組んでいる事がバレて私が抹消されてしまう」

「そら大変なことで」

簡単だがバターが香りジョンは興味津々と言った様子だ。


「食べていいのかサカモト」

「ああ。だが、いただきますと言ってから食べるんだぞ」

「なんだそれは」

「人間のルールみたいなもんだ」

「そうか・・・いただきます」

「召し上がれ」

ジョンは美味そうに食べ色が少し出過ぎた麦茶もごくごくと飲んでいる


「美味そうだなサカモト」

「うわっ!?だから猫お前は勝手に俺の家を見るんじゃねえよ」

「クラッカーにそんなもんは」

「ないんだったな」

「私がいずれ外に出れることがあったら是非とも作ってくれピザばかりで飽きた」

「お前本当ハッキングしか出来ないのな」

「ふふん」

「褒めてねえ」

「だがサカモト他に何かないのか?」

「俺も考えてるんだが別段やることがないんだ。儀式を止める以外の方法はない」

「確かにな」

「それより後少しで教団を殺せる」

「私も殺しはしたことがないぞサカモト」

「しょうがないんだ」

「・・・成功を祈るぞサカモト」

「ああ」

少し沈黙した後鮭チャーハンを嫌な事を忘れるが如く貪るサカモト


「あー食った」

「美味かったぞサカモト」

気に入ったのか上機嫌なジョンにサカモトは、そうですかと言った様な態度で返した


「本当にこれで良かったのか・・・?一日何もせず過ごしてしまったが」

「わずかな時間は戻せないぞ?」

「そうだよな」

「今回のサカモトはそう判断したんだきっと上手くいくぞサカモト」

「きっとうまくいくだろう」

不安がよぎる。相手は神話生物ならお札でも買っておくか?などと考えなんとなく買いに行く事にしたサカモト


「じゃあちょっと出てくる」

「気を付けるんだぞサカモト」

「はいよ」

スマートフォンで検索すると邪気退散みたいな札は確かに売っているようで新宿の光神社に行くことにした。


「光神社はここか?こんなとこあったか?」

普段通らない通りとは言え都会の中にそこそこでかい神社があり物物しい雰囲気を感じてしまうサカモト。

売店らしきとこに行くとバイトであろう巫女さんがお守りとかを売っていた。


「あのーなんかお札的なのあるって聞いたんですが何かないですかね?」

「ありますよ~こちらですね」

邪気退散と書かれている何とも霊験あらたかだが、眉唾を感じざるを得ないお札を10枚購入することに


「1万円になります!」

「えーっとはい」

「ありがとうございました!お参りもしていってくださいね」

「神に祈っとくか・・・神と戦うけど・・・」

「?」

「ああなんでもないです」

賽銭箱にお金を入れ祈るサカモト


「何とか7月8日を無事に迎えられますように!」

やることはやった。あとは祈るのみとなったサカモト


「ビルにお札でも貼ってからフォースリーに向かうか」

レックスビルに行きお札を一枚ペタリと貼ってフォースリーに向かうサカモト


「あー・・・なんか疲れたな」

「どうしたのサカモトさん」

「マスター・・・人生何があるか分からないね」

「まだ若いじゃない」

「ははは・・・ここ数日で10歳は老けたよ」

「そうかね?」

「あ・・・テレビ映り悪いね直せる?マスター」

「あー・・・ここをこうだな」

年季の入ったテレビだがマスター仕込みのチョップでテレビは一発で直る


「流石」

「慣れたもんだね。アイスコーヒーでいいかい?」

「それしかないでしょ」

「ははは確かにね」

タバコに火をつけまったりしているとニュース速報が入った。


※ニュース速報※

7月5日12時新宿のレックスビルで爆破事件。死傷者多数の見込み。テロに注意


「うわー怖いねーさっき新宿いたからいなくてよかったよ」

「えぇ!?なんか居たりしたの?」

「いいやいつもの新宿だったよ」

「いやぁ物騒だから気をつけなよ?」

「そうだねえ」


勝っただろう。十中八九これで7月8日に行ける。

確信を持ったサカモトはタバコをもう一本吸い直し罪悪感と達成感に押しつぶされそうな自分を抑えていた。


「何人死んだんだろうね」

「うーんビルだからねえ昼間だから相当だろうね」

「うーん・・・あ!でも死傷者はいないっぽいよ?」

「・・・は?」

「は?って何だよいい事じゃない」

「・・・そうだね」

サカモトは何故だと焦る。どうして?バレていた?情報はどこからも出てないしましてや教団が100人入った時を見計らって爆破させるという計画のはず。


「マスターちょっと上のパチンコ屋でも久々に行くよ」

「お!勝てるといいねえ!」

「どうせ負けるだけだよ じゃあね」

「また来てよ」

店を出た瞬間タクシーを呼び新宿へ戻る。



新宿駅前で降り金を払い電話をかける

「モガミさん計画は失敗したのか!?」

「いや俺もわけがわからん。部下の報告を聞いたうえでカメラ越しに俺も見てたんだが瓦礫の撤去が始まっても死体が一体も出てこねえんだ」

「・・・どういうことなんだ?どうなってる?」

「落ち着け・・・7月7日がまだ残っている」

「そうですけど・・・少し現場を見てみます」

「バレても俺らの名前は出すなよ」

「出しませんよ それじゃ」

レックスビルへ向かうと多数の野次馬がいた。


「早く離れて!」

「危ないですよ!」

人一人中から見つかっていない救急車が一台も動いてないのがその証拠だ。

バクバクと鼓動が鳴り最悪のシナリオを思い描く。


もしかして正面から武力でやってもダメ・・・?


「その通りだサカモト」

!?

「こちらを向くなよ」

「お前は・・・ハザマか?」

「ああ・・・この入れ物はハザマとかいう名前だったか」

振り向きたくても振り向いてはいけないという警告が頭に響き渡る。


「まあこっちに来い」

そのまま後ろへ連れていかれ柱を直角に座する形で話すようになった。

「俺の方を見てもいいぞ?まあどうなるか保証はせんがな」

「お、お前は・・・何者だ?」

「俺を感じてもなお正気を保つとは凄いな人間は本当におもしろい」

「どうやって逃げた」

「曲がりなりにも神だぞ?転移ぐらいできんでどうする」

膝が笑ってしまっている今すぐ逃げなくてはいけないが逃げれられない。

「逃げるか?逃げてもいいぞ?逃げれるならな」

「はぁっ・・・はぁっ・・・!」

「あんなチャチな花火とおままごとで使うような札を使った所で無駄だ」

「うっ・・・」

びちゃびちゃとその場で胃の中身を吐き出してしまう。

「おいおい・・・まあかなり耐えれてる方ではあるか」

「はぁっ・・・げほ・・・お前らは何故アザトースを?」

「人間が望んだんだ。俺の考えではない・・・まあどうなるかも分からん馬鹿が100年前に考えた事だ。見てしまったんだろう我が神を」

「悪魔が・・・」

「おいおい悪魔程度と俺を同列にしないでくれ」

「くっ・・・」

「だが何故我々の計画が分かるんだ?」

「教えるもんか・・・」

「まあ楽しみにはなるな聞かないでおこう。時間の狭間にでも行けるのか?」

「・・・教えないぞ」

「くくく・・・おもしろい。ではな」

「うっ・・・!」

近くに居た化物が消え空気が軽くなった瞬間胃の中身を全てその場でぶちまける。

10分程度うずくまり震えが収まってきたところで駅のトイレで顔を洗う。


「・・・どうすりゃいいんだ」



「面白かったなあ次は何をするんだ?気になるなあ」

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