3話 学校で根掘り葉掘り聞かれました
「どういうことだ!? 説明しろ!」
「脅しか!? それとも賄賂か? 」
「今の時代、寝取るのってありか……?」
教室に入るとすぐ、猿化したクラスの男子たちが鬼のような形相で詰め寄ってきた。猿なのか鬼なのか分からんな……
ちなみに、紗織は早くも女子に取り囲まれている。
ん? てか最後のやつ、Web小説とかじゃないと許されない事しようとしてない?
「ナ、ナンノコトカナ?」
「惚けるな! 証拠ならもうここにある!」
そう言ったのは、イケメンオーラが溢れ出る俺の親友、
「え? マジかよ!?」
「え? そんなもんないよ?」
「騙したなこの野郎ッ!」
「引っ掛かるお前が悪い」
「修司、お前後で校舎裏来いや!」
「分かった分かった」
「適当だなマジで校舎裏呼び出すぞコラ」
「まぁまぁそれで……? どっちから告白したの?」
「俺から……というか、告白の練習してるとこを紗織に見られて…………」
「おっと想像以上に面白い答えきたぞ」
「面白いとは失敬な! 俺は今年の体育祭とか文化祭でロマンチックに告白したかったのに!」
「この時期から練習してるのかよ!? まぁ多分、そのプラン上手くいかないだろうから良かったんじゃない?」
「あれ? 俺とお前って親友だったっけ……」
「シンユウシンユウ」
「カタコトやめて!? マジで疑っちゃうから!」
なんて俺らが喋っていたら……
「「「「「キャぁぁぁぁぁぁ!」」」」」
突如、甲高い歓声が聞こえてきた。その出所は、紗織の周りを取り囲んでいる女子たちだ。
「おめでとう紗織ちゃん!」
「てか雨宮くん、紗織ちゃん射止めたのか凄いね!」
「まぁちょっと変だけど雨宮くんカッコいい方だしね〜」
全部聞こえてるぞ。僕はもう何も思わなくなったよ…………ぐすん。
俺が謎の感傷に耽っていると突如、ある人が俺の両肩に手を乗っけて話しかけてきた。
「春希くん、紗織と付き合うって本当!?」
「ま、まぁな」
「そ、そうなんだ…………」
そう言って何故か少し落ち込んだような表情を浮かべたのは、紗織の親友でもあり、学校で二番目の美少女と言われている
ちょうど肩くらいの長さがある、ツヤツヤで美しいセミロングの黒髪が少し揺れる。
「だ、大丈夫か…………?」
「い、いえ大丈夫よ。何でもないわ。それよりもおめでとう!」
「おう。ありがとな」
先ほどの少し落ち込んだような表情は気のせいだったのではないかと思うくらい、いつもの坂下に戻っていた。
「ハルく〜ん? 早速浮気かぁ〜?」
坂下と話していると、女子の鳥籠から抜け出した紗織が話しかけてきた。
「紗織、もしかして嫉妬か?」
「嫉妬ですよ〜だ! だって美帆可愛いから取られそうで怖いもん!」
何コレ可愛い。
俺と同じように思ったのか、クラスのみんなが再び騒ぎ始める。
「紗織ちゃん可愛すぎ!!」
「ギルティだ! やっぱり雨宮ギルティ!」
「ねぇねぇ雨宮くんと紗織ちゃんってどこまでいった!? まさかもう最後まで!?」
「「まだ付き合って一日しか経ってないんですけど!?」」
「またまた〜そんなこと言って〜。本当はキスくらいはしたんじゃないの〜?」
「おい雨宮! なんとか言えや!」
「「まだハグしかしてません!!!」」
「「「「………………………………」」」」
あれ……? なんか変なこと言った…………?
俺と紗織の言葉に一瞬にして静かになった教室。その沈黙は、一人の教師によって壊される。
ガラガラガラ
「おーいお前ら席につけー。ホームルーム始めるぞー。お、雨宮。昨日はお楽しみだったか?」
「「昨日も説明した通り何もしてないから!?」」
「「「「やっぱり何かしらしてる感じじゃん!?」」」」
「「だからしてないよ!?」」
俺たちは担任の紫鶴先生のせいで、更に根掘り葉掘り聞かれることになってしまったのはまた別のお話。
*
「つ、疲れた…………」
さぁ、家ではゆっくり休んで明日に備えよう。紫鶴先生許さんぞコンチキショウ!
「ただいまぁ〜」
「おう、おかえり」
あ、そっか。今日は親父休みだったんだよな。色々ありすぎて忘れてたわ…………すまねぇ、親父。
「疲れたから今日は上でゆっくり休…………」
「あ、春希! 悪いが今から一緒に出かけるから準備してくれ。とびきりオシャレをしてな」
「え? 何で?」
「えっとな…………父さん、再婚することにしたんだ」
「へーそっかそっかおめでとう………………ってはぁ!?」
「ありがとな」
「いやいやありがとなじゃなくて! 再婚するってマジ?」
「大マジ」
「そ、そうか…………まぁ、まだ混乱してるけどとりあえずおめでとう。そんで今まで育ててくれてありがとう」
「お、おう。なんか……照れるな」
「でも、早く言わなかったことに関しては説明してもらおうか」
「ハ、ハイ」
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